エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1030
2021.07.30 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからは、実際のゲームプレイを想定したテストとして、MMORPGにおける人気タイトルの最新拡張パッケージ「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークテストを動作させる。。グラフィックス設定は「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットを選択し、これまで同様に30分間ループでテストを実行した。
なおテスト中の消費電力は最大515W。先ほどの「3DMark」とほぼ同じで、60%程度の負荷がかかっていた。
ゲーム中にかかる不規則な負荷が再現されており、12Vのグラフ波形も動きが一際大きい。電圧変動の最大・最小値もこれまで以上に上振れ・下振れしている点から、電源ユニットへの要求が大きいことが分かる。しかし全体の変動幅は3%程度に収まっており、動作の安定性は相変わらずだ。
最後はより高負荷なゲーム系ベンチマークテストとして、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークを動作させる。カスタム設定で最も負荷が大きくなるよう項目を選択し、解像度は3,840×2,160ドット。これまで同様に30分間ループでテストを実行した。
なお消費電力は、先ほどの「FFXIV」から上昇して最大595Wに。65%程度の負荷がかかっていた。
グラフ波形の傾向は「FFXIV」と似ており、微細な変動が連続して続いている。変動幅は最大値が同じで最小値はやや控えめ、全体で2%程度に収まっていた。
なお、ここまでの検証すべてで言えることだが、余裕の少ないSFX電源ということもあり、常時フラットな電圧値で出力することは難しい。しかし変動幅はごく限られた範囲に収められており、電源ユニットとしての信頼性は確か。多くのテストで最大・最小値が同じである点もまた、「DAGGER PRO 850W」の高い安定性を示している。
コンパクトサイズによる設計上の制約があるのはもちろん、かつてのSFX電源は容量もミドルレンジ帯までに限られており、構築できるシステムにも限りがあった。APUベースやローエンド~ミドルレンジクラスのグラフィックスを搭載したシステムを選ぶほかなく、SFX電源を採用するPCケースで組む際は、構成に不自由さを感じていた人も多かっただろう。
そうしたハイエンド志向のミニPCマニアにとって、ミニマムなSFXフォームファクタの筐体に850Wの大容量を内蔵する「DAGGER PRO 850W」は救世主になる。昨今はコンパクトなMini-ITXケースにもハイエンドグラフィックスカードに対応するモデルが増えており、そのパートナーにピッタリな存在だ。個性的なミニケースでパワフルなマシンを組みたいという向きには、見逃せない選択肢になる。
そしてハイエンドクラスに対応する大容量だけでなく、電源ユニットとしての優れた信頼性も「DAGGER PRO 850W」の魅力。限られたスペースに厳選したコンポーネントを組み込むSFX電源にとって、多機能な独自IC「MIA IC」を採用したシンプル設計は相性抜群。その動作もよくコントロールされ安定感があり、ATX電源と比べても引けを取らない。さすがは老舗が手がけるプロダクト、まだ選択肢の少ない最大容量のSFX電源にあって、早くも本命候補が登場した感がある。
協力:FSP GROUP Inc.
株式会社アユート