エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1031
2021.08.01 更新
文:藤田 忠/撮影:松枝 清顕
ゲームタイトルを使ったパフォーマンスチェックの最後は、重量級アクションゲームの「Watch Dogs Legion」だ。グラフィック設定(「グラフィック品質」)は最高品質になる「最大」、解像度はこれまで通り3種類で、レイトレーシング機能(「最大」)とDLSS(「バランス」)に設定した状態でも計測を行っている。計測はゲーム内ベンチマークを利用している。
重量級タイトルだが、FPSやバトルロイヤル系ゲームほどの高フレームレートは必要とせず、60fpsオーバーがゲームを快適に楽しめる目安になる。とは言え、レイトレーシングを最大限効かせると、DLSS(バランス)を併用しても、60fpsを超えるのはフルHD解像度のみで、GeForce RTX 3070 TiのターゲットとなるWQHD解像度では、ギリギリ60fpsに届かなかった。美麗な画質を維持したままゲームの世界を十分満喫できるが、60fpsを維持するには、若干グラフィック品質をカスタマイズする必要はあるだろう。もちろん、レイトレーシングを無効にすれば、WQHD解像度でもまったくストレスなくゲームを楽しむことができる。
4K解像度はさすがに厳しく、レイトレーシングを無効にした状態でも40fps台に留まっている。重量級ゲームを4K解像度で快適にプレイするには、上位GPUのGeForce RTX 3080/RTX 3080 Tiが必要だ。
「Watch Dogs Legion」など、多くのゲームはレイトレーシングの有効/無効などの設定変更時にゲームの再起動は必要なく、シームレスに変更できるので、シーンに合わせてサクッと切り替えて、プレイを楽しむのもありだ。
ゲームタイトルを使ったパフォーマンスチェックでは、残念ながらデフォルトの「GAMINGモード」と「Extreme Performanceモード」のフレームレート差は誤差の範疇で、「Extreme Performanceモード」のほうが低いフレームレートになることも多かった。モードでPower Limitに違いはないので、大きな期待はしないほうが良いだろう。
ゲーミングパフォーマンスのチェックに続いては、「GeForce RTX 3070 Ti SUPRIM X 8G」搭載時の消費電力をチェックしていこう。一定時間高負荷をかける「3DMark」のストレステスト「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を利用。実行中の最高値を高負荷時、OS起動後10分程度、なにもせず放置した状態をアイドル時とした。消費電力はシステム全体で、ラトック製ワットチェッカー「RS-WFWATTCH1」で記録している。
「GeForce RTX 3070 Ti SUPRIM X 8G」では、TGPがNVIDIAリファレンスから、さらに20Wアップの310W(最大330W)になるだけあって、CPUとGPUに高負荷のかかるテスト中の消費電力は440Wに達している。MSI推奨にあるように、電源ユニットの容量は750W以上であれば問題ないが、80PLUS認証を取得する電源ユニットの変換効率が最も良いのは50%出力時なので容量850Wを狙うのもありだ。
最後は「GeForce RTX 3070 Ti SUPRIM X 8G」の最大トピックであるVGAクーラー「TRI FROZR 2S」の冷却性能と静音性を見ていこう。
「HWiNFO64 Pro」を使って、「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」実行中のGPUコア温度(GPU Temperature)、GPUホットスポット温度(GPU Hot Spot Temperature)、GDDR6Xメモリ温度(GPU Memory Junction Temperature)を記録している。
GPUコア内で最も高い温度となるGPUホットスポット温度は76℃前後になるが、GPUコア温度はMSI最上位VGAクーラーとなる「TRI FROZR 2S」だけあって、66℃台までしか上がっていない。VGAクーラー次第では、80~90℃台に達することもあるGDDR6Xメモリの温度も同様で、最大でも78℃に抑え込んでいる。バラック状態でのテストになるが、「TRI FROZR 2S」が優秀な冷却性能を持っているのは間違いない。
テスト実行中のファン回転数は、概ね62%前後、回転数2,000rpm程度になっていた。騒音値をグラフィックスカード側面から30cmほど離れた位置で計測すると、40.8dBAに達したがPCケースに収めてしまえば気にならないだろう。ファン回転数を10%刻みで変更して騒音値を計測してみると、50% 1,650rpmまでは40dBAを切っており、70% 2,280rpmでも41.4dBAとまずまずの騒音値になっていた。組み合わせるPCケース次第だが、70%前後までならゲームプレイの邪魔をすることはないだろう。
フルHD、WQHD解像度でゲームプレイを満喫できるアッパーミドルGPUのGeForce RTX 3070 Tiを搭載する「GeForce RTX 3070 Ti SUPRIM X 8G」。GeForce RTX 30シリーズの価格は徐々に落ち着いてきており、最安クラスの製品では100,000円を切っているため、12万5000円前後となる「GeForce RTX 3070 Ti SUPRIM X 8G」はちょっと割高だ。しかし、垂直配置だけでなく、通常配置時も魅せるデザインに、高負荷時もGPUコア温度を60℃台に抑える高い冷却性能と静音性を備えている「TRI FROZR 2S」は、その価格に見合う価値十分ありだ。
コスパはダウンするが、PCに搭載したときの優越感はかなり高い「GeForce RTX 3070 Ti SUPRIM X 8G」 |
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社