エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1040
2021.08.19 更新
文:撮影:松枝 清顕(解説)/ 検証セッション:池西 樹
ここからはヒートシンクに注目していこう。まずは形状をみるべく、ワイヤークリップ固定の冷却ファンを取り外した。まず上から眺めると左右対称で、ヒートパイプも対称に整列しているように見える。
ブラックメッキ加工が施されたアルミニウム製放熱フィンは、合計50枚で構成され、中央部に凹みのあるデザインが特徴。受熱ベースプレートのネジ(バックパネル側)を固定する際、ドライバーが挿し込めるようにデザインされている。
CPUクーラーの冷却能力は、ヒートシンクを構成する放熱フィンの表面積がものを言う。ZALMANの製品資料によると、アルミニウム製放熱フィン50枚の合計表面積は実に9,271cm²とされる。
受熱ベースプレートは実測で6mm厚。40x38mm四方で、4本の銅製ヒートパイプがCPUに直接触するDTH(Direct Touch Heatpipes)式を採用。熱移動効率を高める工夫がなされている。ハイエンド志向のサイドフロー型CPUクーラーと言えば、5本、6本とヒートパイプを使用するイメージだが、「CNPS10X PERFORMA BLACK」のチョイスは4本。これが冷却性能にどれほどの影響を及ぼすのか、のちほどテストセッションで明らかにしていこう。
CPUに直接触するDTH(Direct Touch Heatpipes)。受熱ベースの平面に合わせるよう、限りなくフラットに加工されている |
銅製ヒートパイプには腐食防止と見た目の美しさを両立させる、ブラックメッキ加工が施され、素材が異なる構成パーツ同士の一体感を視覚的に演出。ヒートパイプ末端は最上面から突き抜け、50枚の放熱フィンに密着しながら貫通している。
見た目にも美しい仕上がり。ヒートパイプの曲げ角度は、隣接するメモリスロットへの物理的干渉を避けるための工夫。ちなみに垂直が冷却ファン搭載面(メモリスロット側)、傾斜がバックパネル方向 |
冷却ファンはシングルの135mm径環状ブレードファンと呼ばれるモデルが標準搭載されている。これはなんだろう。
ヒートシンクから取り外した135mmファンを手に製品資料を見ると「ノイズを抑えつつ高い冷却性能を実現する」とある。”風量があって音もせず”はたいへん理想的だが、さて都合良くいくものだろうか。ちなみに「環状ブレード」についての言及はこれと言ってなく、イラストから9枚のインペラがホコリの侵入を防ぐEBRベアリングの軸受けを中心に回転した様子を指すようだ。
回転数は700~1,500rpm±10%のPWM対応(4pinコネクタ)で、騒音値は最大27dBA±10%、風量は最大75.16CFM、静圧は最大1.35mmH2Oで、動作寿命は50,000時間とされる。なお「CNPS10X PERFORMA BLACK」は、あくまでシングルファンでの運用が想定されており、デュアルファン化させるワイヤークリップは付属しない。
ヒートシンクにはワイヤークリップで固定。マザーボードへの搭載時など、簡単に取り外しができる |
「CNPS10X PERFORMA BLACK」搭載135mm径環状ブレードファンは、直進性と高い静圧が特徴。一定の風量を遠くまで届ける能力は、CPUクーラーに最適というワケだ |