エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1049
2021.09.06 更新
文:撮影・松枝 清顕(解説)/ 検証セッション・池西 樹
組み込み手順をご紹介する前に、付属品を総点検しておこう。組み込みに必要なパーツ類は、茶色のアクセサリーBOXの中に袋詰めされている。重量1.62kgにもおよぶ本体を支えるとあって、当然ながらバックプレートと専用ネジでガッシリと4点を留める仕様。一部には他のCooler Master製CPUクーラーと共通部品も使用されているようだ。
なお近頃のCooler Masterは、付属品おのおのにパーツ名を決めていない。マニュアルにはパーツにはアルファベットの記号がふられ、詳細なイラストにより解説が進められている。必ずしも固有の名前は必要としないが、本稿ではより分かりやすくするために独自の名称を付けた。なお同梱数については、マニュアルに記載があった。
バックプレート | Intel用プラスチック製キャップ |
AMD要プラスチック製キャップ | グリス |
AMD用リテンション | Intel用リテンション |
台座固定ネジ(1) | 固定用ハンドスクリュー |
台座固定ネジ(2) | LGA2011用台座固定ネジ |
テーパーネジ | 冷却ファン用二股電源ケーブル |
次に順を追って、搭載手順を解説しよう。今回の搭載テストではAMD Socket AM4を使用。Intel系とは比較的作業の異なる点が多いが、基本は大きく違わない。AMD編でも参考になるだろう。
プラスチック製バックプレートに台座固定ネジ(1)を仮止め。マニュアルの図説からSocket AM4のポジションを確認しておこう | ポジションが決まったらAMD要プラスチック製キャップを使い、台座固定ネジ(1)を装着する |
この手順を4回繰り返し、四隅への台座固定ネジ(1)装着が完了 | 次にマザーボードの背面に合わせる。なお事前にマザーボード側のリテンションおよびバックプレートは外しておこう |
CPUソケット周辺の四隅に飛び出た台座固定ネジ(1)に、台座固定ネジ(2)を4箇所ネジ留めする |
台座固定ネジ(2)はハンドスクリュータイプで工具不要 | ここにAMD用リテンションを載せ、固定用ハンドスクリューで台座固定ネジ(2)にネジ留めする |
AMD用リテンションを1セット分装着すると、台座は完成。この上に「MasterAir MA624 Stealth」を載せる事になる。なおこのタイミングでCPUにグリスを塗っておくことを忘れずに |
ロゴ入りのアルミ製カバーから頭が見えているネジを、完成した台座にネジ留めする | マニュアルの付属品一覧に記載は無いが、簡易的なドライバーが付属していた |
ブラックで統一されたCPUクーラー本体の搭載が完了。この後冷却ファンを付けて行く |
最後に「SickleFlow 140」を装着。これにて搭載は完了。マニュアルを見ながらゆっくり作業をしても、15分も掛からないだろう。最後に念のため、グラつきがないか眼と手で確認しておこう |
マザーボードへの搭載が完了したところで、メモリスロットクリアランスを確認してみたい。とかく大型CPUクーラーの場合、CPUの冷却を重視するあまり、隣接するメモリスロットへの物理的干渉は”致し方なし”になってしまう。
そもそも大型CPUクーラーを選んだ理由は、ハイエンド構成だから。しかしメモリはヒートスプレッダ無しの一般的なメモリを選択しなければならないというアンバランスに、違和感を覚えている自作派は少なくないだろう。一方で設計側も避けられないハードルとして捉えており、この問題をどうにかしよう、という工夫が見て取れる。「MasterAir MA624 Stealth」も例外ではなく、標準の140mmファンとは別に120mmファンを同梱。メーカーや代理店の製品サイトには、シーンによって付け替えができる事をアピールしている。しかし若干誤解される可能性があるため、ここでもう一度確認しておきたい。
標準ファン「SickleFlow 140」搭載時のメモリスロット付近に注目 |
クリアランスチェックには、編集部の検証用メモリ「Ballistix Sport」を装着した。ヒートスプレッダ付きとは言え、全高は実測で32.5mmだった。「MasterAir MA624 Stealth」は、全高40mmまでのメモリが搭載可能とされているが、画像では比較的ギリギリな様子が見て取れる。これは「SickleFlow 140」の搭載位置が比較的下寄りであるためで、上方向へスライドさせる事で、メモリスロットのクリアランスは調整が効く。次に「SickleFlow 120」へ換装した場合の様子をご覧頂こう。
「SickleFlow 120」へ換装した状態のメモリスロットクリアランス |
今度は若干上寄りに冷却ファンを固定したところ、公称40mmは十分に確保できているように見えるだろう。さて、ここでポイントなのは、「SickleFlow 120」はメモリスロットクリアランスをより確保するためと解釈できる製品情報の解説文だ。次にメモリスロットに関する図説(抜粋)を見て欲しい。
注目は冷却ファンの大きさが違っても、有効メモリ高は40mmと変わらない点だ。左端のイラストは冷却ファンを逆に搭載したイレギュラーパターンなのでこの際除外するとして、右端(120mm)と中央(140mm)を見ると、冷却ファンの換装は直接メモリスロットクリアランスとは関係がない事が分かる。では何が有効かと言うと、メモリスロットクリアランスを40mm確保した際の全高だ。140mmの場合は全高173.9mm、120mmの場合は160mmに収められている。ちなみに製品情報の全高は160mmのミニマム表記で、ここは誤解を招く可能性があるだろう。140mmファン搭載時と120mmファン搭載時、それぞれの数値を表示すべきだ。