エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1050
2021.09.08 更新
文:撮影・こまめ
「UL Procyon」はアドビのクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストだ。こちらは重いデータや高度な処理を行なうため、ハイアマチュア/プロ向けの作品作り向きと考えられる。比較用のデータはエントリークラスのクリエイター向けノートPC (Intel Core i7-1185G7/16GBメモリ/1TB NVMe SSD/NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti with Max-Q、比較機①)と、13インチモバイルノートPC (Intel Core i5-1135G7/LPDDR4x-4266 16GBメモリ/512GB NVMe SSD/Iris Xe Graphics、比較機②)の2機種だ。
「Photo Editing Benchmark」は画像加工に関するテストを行なう。「Image Retouching」は「Adobe Photoshop」メインでメモリとGPUの性能が影響しやすく、「Batch Processing」は「Adobe Photoshop Lightroom Classic」メインでCPUとストレージの性能が影響しやすい。「Video Editing Benchmark」は「Adobe Premiere Pro」を使ったテストで、フルHD (H.264)および4K (H.265)動画の出力にかかった時間が計測される。こちらの結果は総合スコアのみだ。
さすがにプロレベルの重い処理では、クリエイター向けノートPCのほうが優れたスコアが出ている。AMD Ryzen 7 5700Uを搭載した「Modern 15 A5」も悪くはない結果だが、もうひと押し欲しいところだ。とは言え、外部グラフィックスなしで一部クリエイター向けノートPCに迫るスコアが出ているのは健闘していると言っていい。
ただ動画編集については全体的にスコアが低めなので、Intel系CPU搭載機種のほうが有利かもしれない。
バッテリー駆動時間の公称値は、10時間とされている。ただしこれは「JEITAバッテリ動作時間測定法 (Ver. 2.0)」と呼ばれる測定法に基づいた省電力状態における比較用の結果で、実際の利用を想定した数値ではない。そこで長時間のWebブラウジングを想定した状況で、実際の駆動時間を計測した。使用したソフトは「BBench」(10秒ごとのキー入力と60秒ごとのWeb巡回を有効)で、Windows 10の電源プランは「バランス」、電源モードは「より良いバッテリー」に設定。さらに「MSI Center Pro」で「Performance Optimize」を「バランス」に変更している。
結果は8時間32分で、公称値の10時間をやや下回った。ただし「BBench」のテストはどちらかというとバッテリ消費量が少ないため、Webブラウジングよりも負荷の高い作業を行なえば駆動時間はさらに短くなるだろう。外出先でネットの調べ物やちょっとした文書作成などを行なうのであればおそらくバッテリ切れの心配はないが、ソフトを複数使って多少負荷の高い処理を行なうのであれば念のために電源アダプターを持ち歩いたほうがいい。
AMD Ryzen 5000シリーズ・モバイル・プロセッサー搭載機は、Intel Coreプロセッサ搭載機種に比べて価格が安い点が大きな魅力だ。今回取り上げた「Modern 15 A5」のAMD Ryzen 7 5700U搭載モデルも実勢価格は128,480円(2021年8月現在)程度。同クラスのIntel Core i7-1165G7搭載機種であれば、15~20万円オーバーでもおかしくない。このコストパフォーマンスの高さが、Ryzenシリーズの強みだ。
またこれは実際に手に取るとわかるのだが、「Modern 15 A5」は非常に丁寧に仕上げられている。価格優先でクオリティが今ひとつといった機種が多いなか、デザイン面でも機能面でも上々の仕上がりだ。特に感心したのは、本体内部の冷却にデュアルファンが使われている点。筆者はこれまでにRyzen搭載機種の内部を何台も確認しているが、スタンダードノートPCタイプで2基の空冷ファンを搭載している機種はなかなかない。このあたりの品質がMSIならではと言えるだろう。長期間安心して利用できるPCとしておすすめしたい。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社