エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1052
2021.09.12 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
組み合わせの複雑さから、筆者をやや混乱させた両サイドパネル。ここでは評価サンプルである「Torrent Black TG Light Tint」の装備品を解説する。3色の強化ガラス製サイドパネルは、デザインに妥協しないFractalのこだわりであり、この頑なさが世界中の自作PCユーザーを惹きつける理由にもなっている。
まずご覧頂くのは、大枚をはたいて購入した構成パーツを見て楽しめる、正面左サイドパネルだ。視認性を確保するため、筐体内部のメインエリア側は「ライトTG」が装着されている。なるほど着色はライト(Light)で、LEDイルミネーションパーツも輝度をほどよく抑えつつ、眺めて楽しめるはずだ。
ガラス厚は3mmで、外形寸法は実測で幅約485mm、高さ約435mm。上下辺のエッジにはスチール製で高さ約25mmの補強プレートが装着されている。なおシャーシへの固定は、下辺は4点で引っ掛け、上辺は2点のジュラコンキャッチ式。後方上部にはプラスチック製のツマミ(突起)があり、これを開く側に倒すことで取り外しができる。簡単ではあるものの、勢いよくリリースすると落下破損の可能性を含んでいる。何事も丁寧に扱いたいところだ。
上辺中央には輸送時を想定したサイドパネル固定用ネジ穴を用意。頻繁に開け閉めする必要がなければ、普段からネジ固定しておくと良いだろう |
次に正面右サイドパネルを確認する。カラーは「ダークTG」で、「ライトTG」に比べ、明らかに着色の濃さが分かる。右側面はマザーボードトレイ背面で、いわゆる裏配線スペースに当たる。「ダークTG」のチョイスは理に適っているが、ソリッドパネルではなく、強化ガラスを選択しているあたりに、Fractalのこだわりが表れている。
パネルサイズや上下スチール製補強プレートまで左右対象。上辺中央部には、輸送時用のネジ穴が装備されている |
背面に回り込み、リアパネルデザインを確認しよう。エアフロー重視の筐体である事は折に触れているが、リアパネルからもその片鱗が窺える。それは全体のおよそ7割がハニカム状の通気孔仕様で、可能な限り密閉しないコンセプトは明らかだ。順を追ってチェックしてみると、最上段の大きな開口部は電源ユニットの搭載スペース。中段左はマザーボードのバックパネル用にカットされ、右手の通気孔部分には冷却ファンが増設できる。そして下段左は拡張スロットだ。
このように「Torrent」は多くのミドルタワーPCケースが採用する、電源ユニットボトムマウントではなく、トップマウントを採用。ここを軸に、内部構造も見慣れたスタイルとはやや異なる設計である事が分かった。
次に本体を逆さまにして、ボトムパネルの様子をチェックする。なおトップパネルはプラスチック製で、ややかまぼこ状にカーブしている。本体自体も11.1kg(両サイドパネル込み)と重く、無闇に逆さまにすると、トップパネルを破損または傷を付ける可能性がある。もし実機のボトム面をチェックする必要があるなら、強化ガラス製サイドパネルを外し、横置きにした状態にする事をお勧めしたい。
11.1kgを支える台座は前後に設けられている。立体的にデザインされたプラスチック製の台座の四隅には、滑り止めゴム(実測幅約13mm、長さ約40mm)を装着。設置面からは約35mm持ち上げる格好で、ボトムパネル下のエリアに空間を確保した。ボトム面の多くは通気孔で、大判の防塵フィルタが装着済み。この内部には、標準搭載の冷却ファンが3基固定されている。
前後の台座はプラスチック製。前寄りの中央にはモデルナンバーとシリアルナンバーが記されている |
防塵フィルタはフロントパネルを取り外した状態から、前面にスライド着脱ができる仕組み |