エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1055
2021.09.19 更新
文:編集部 Tawashi/撮影:pepe
ベンチマークテストに続いてデュアル水冷化が施された「G-Master Hydro X570A II」の冷却性能をチェックしていこう。16コア32スレッドのCPU Ryzen 9 5950Xは「CINEBENCH R23」、GeForce RTX 3080 Tiは「Time Spy Extreme」をそれぞれ30分連続動作させて計測している。
サイコムオリジナルのオールインワン水冷クーラー「670LS RGB」は冷却能力を遺憾なく発揮してくれた。TDP105WのRyzen 9 5950Xだが、CPU温度は最高で70℃をややオーバーする程度と極めて優秀。これなら、夏場や負荷の高いアプリケーション動作時でも、安心して使う事ができる。
一方、TDPが350Wとコンシューマ向けのGPUとしては最高クラスの発熱を誇るGeForce RTX 3080 Tiはどうだろう。結果はご覧の通り。最高負荷時でも60.5℃と驚きの冷却性能を見せている。専用に開発された「Hybrid GFX 240mm LCS」Ver.2が、伊達ではないことがテストでも実証された格好だ。
テストセッションの最後はベンチマーク実行中の消費電力を確認する。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、「CINEBENCH R23」「Time Spy Extreme」「Watch Dogs Legion」はそれぞれのベンチマーク実行中で最も高い値を記載した。
アイドル時は52Wと非常に低い。グラフィックスカードへの負荷が上がる「Time Spy Extreme」では557W、「Watch Dogs Legion」では540Wとそれなりに上昇しているが、標準搭載の電源ユニットは、850WのSilverStone「SST-ST85F-GS V2」のため気になるレベルではない。これ以上、電源容量が増える要素といえば、ストレージ系デバイスの追加程度のため、十分対応してくれる。
GeForceの世代交代に合わせ、今もなお進化を続ける「G-Master Hydro」。GeForce RTX 30シリーズの登場以降、熱対策のハードルは上昇するばかりだが、「毎回本当に大変なんですよ」とサイコム・山田氏は笑顔で話す。どうやら新しいGPUが登場するたび、難題をクリアしていく工程を楽しんでいるようだ。
サイコムが培った技術と豊富な知識が「G-Master Hydro」に落としこまれ、担当者が丁寧に組み上げていく。サイコムが多くのユーザーに支持されているのは、単に既製品だけで完成させるのではなく、独自にカスタマイズされたパーツを最適な組み合わせで提供する、その取り組みと姿勢にあるのだろう。
検証機に搭載されていたGeForce RTX 3080 Tiは、「Hybrid GFX 240mm LCS」を改良する事で発熱の問題をクリア。各種ベンチマークテストの結果から、最高のパフォーマンスが発揮できている事は明らかだ。Ryzen 5000シリーズにハイエンドグラフィックスカードを組み合わせた「G-Master Hydro X570A II」は、既製品だけで組み込まれたPCでは飽き足らない、コアなユーザーにこそ所有して頂きたい、完成度の高いゲーミングPCだ。
協力:株式会社サイコム