エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1058
2021.09.28 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
外装周りのチェックが完了したところで、気になる内部構造をくまなく見ていこう。まずは必要に応じてサイドパネルを外し、マザーボードトレイや冷却ファン&ドライブベイレイアウト、電源ユニット搭載スペースなど、細部を点検する事で「P82 Silent」の設計思想を読み解く。
内部構造はAntecが今年前半より積極的にプロモーションを行っていた”「FLUX」シリーズ筐体”とは異なり、”「P82」シリーズ筐体”が採用されている。特徴的なのは段差で、マザーボードトレイはフラットではなく、前寄り3分の1が一段高くなり、その差分を利用してスルーホールを装備。ケーブルマネジメントをより有利にしている。
またトレイ部には上・中・下段各2本のスタンドオフが装着済みで、ATX規格なら必須の右端縦3本のスタンドオフは、付属品よりユーザー自らねじ込む必要がある。これも「P82」シリーズ筐体共通の仕様だが、なぜ6本のみとしているのか理由は分からない。
ミドルタワーPCケースのほとんどに装備されるボトムカバー(シュラウド)。L字型のプレートをシャーシにリベット固定。筒状の空間には、前方にケージタイプのシャドウベイユニット、後方に電源ユニットが”収納”される。未だに熱源分離をメリットとする文言も目にするが、実際には煩雑になる複数のケーブル類を隠す役割が大きい。特に強化ガラスを装備する魅せるPCケースには、楽屋裏を作り出すパーティションのような存在だろう。なお「P82 Silent」装備のボトムカバーの全高は、実測で約110mmだった。
共通筐体とあって「P82 Flow V2」の要素も少し感じられる「P82 Silent」。一方で、静音志向をモデル名にも打ち出しているだけに、やみくもに冷却ファンが搭載できるワケではない。ここからは冷却ファンとラジエターの各レイアウトを解説し、冷却性能と静音性の折り合いの付け方を明らかにしていこう。
最も「P82 Flow V2」の面影があるのがフロントパネルだ。上部と下部にデザインされた格子には5mmのスリットを設け、さらに右側面には8mmのスリットを装備。密閉型デザインに見えるところ、その実3方向からの通気性が確保されている。
上下の格子は5mm間隔、さらに右側面縦列には8mm間隔にスリット状の通気孔を設け、3方向から外気が取り込めるよう上手にデザインされている |
リアパネル上部には、120mmファンが1基標準で装備されている。熱源となるCPUソケットと電源周り付近の熱だまりを抑えるべく、常時排気を行う重要なポジションで、140mmファンへの換装にも対応。ラジエターは120/140mmサイズが搭載できる。なお標準搭載ファンのスペックは、フロント同様非公開だが、実際に回転させてみたところ、十分静音性を保つ低速ファンだった。