エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1059
2021.09.30 更新
文:撮影・松枝 清顕(解説)/ 検証セッション・池西 樹
次に冷却性能を左右する、受熱ベース部とヒートパイプに注目してみる。ヒートパイプはφ6mmを4本で構成。受熱ベース部はCPUに直接触するDTH(ダイレクトタッチヒートパイプ)方式が採用されている。いわゆる直接触の有効性については賛否両論あり、メーカー毎に言い分があるようだが(そもそも製造方法の問題も)、そこはTDP200Wを謳うCPUクーラーという事で、冷却性能はテストセッションにより実証できれば別段問わない。
受熱ベースプレートは、幅約39.5mm、縦約34.5mmで、最厚部は約13mm。4本のφ6mmヒートパイプは埋め込み式を採用し、ダイレクトタッチ部分は凹凸を無くす平面処理が施されている。
受熱ベースプレートの上面には、マザーボード固定用リテンションの一部であるブリッジ(プレート)が中央部分でネジ留めされていた |
銅製ヒートパイプのレイアウトは、交互にヒートシンクの中央寄りと外よりに分かれ、アルミニウム製放熱フィンへ熱を拡散。その際、ヒートパイプと放熱フィンの付け根処理が冷却性能に多大な影響を及ぼすが、製造方法についての言及は特になされていない。
なおヒートシンクに対するヒートパイプのレイアウトは、トップ部から見るとよく分かるだろう。さらに冷却ファンを外した状態で正面からヒートシンクを眺めると、56枚の放熱フィンに対しどのように設計されているかが理解できる。ここまでくまなく確認してきたが、「Silent Cooler OWL-SC200」のヒートシンクは奇をてらうことなく、極めてベーシックなスタイルのサイドフロー型CPUクーラーと言えよう。やはり最大のポイントは標準130mmファンの存在とみて間違いなさそうだ。
ここまで再三ポイントとして触れてきた、標準130mmファン。一般的なサイドフロー型CPUクーラーに搭載される冷却ファンと言えば、120mmまたは140mmが相場だが、この中間をチョイスする点は実に興味深い。
スペックを確認すると、回転数は800~1,600rpm±10%、騒音値18~28.6dBA、風量38.4~81CFMで、流体軸受けが採用されている。ちなみに一例として同回転数の120mmファンのスペックをご紹介すると、某A社のモデルで騒音値最大29.1dBA、風量最大72.67CFM、某B社のモデルでそれぞれ最大34dBA、70.18CFMとされる。製品の味付けの違いはあるにせよ、10mmの違いながら騒音値は低く、最大風量も上回っている。径を大きくすれば、騒音値を抑えつつ、低速回転でも大きな風量が生み出せる。このセオリー通りの数値は「Silent Cooler OWL-SC200」に対するプラス材料として、もっとアピールしてもいいのではないだろうか。
フレームはリブ無しで、角がカットされている。なおヒートシンクと接触する四隅には防振ラバーが装着済み |