エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1060
2021.10.06 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
先代モデル「MPG X570 GAMING PRO CARBON WIFI」から、フェーズ数だけでなく冷却システムも強化されている「MPG X570S CARBON MAX WIFI」。そこで、高負荷時の電源回路の温度をチェックしてみよう。ストレステストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」、MOSFETの温度計測には「HWiNFO 7.10.0」を使用し、「MPG CORELIQUID K360」のウォーターブロックファンをそのままにした場合と、自作のプラスチックカバーで覆い無効にした場合の2種類で計測を行っている。
ウォーターブロックファンを有効にした場合のサーモグラフィ | ウォーターブロックファンを無効にした場合のサーモグラフィ |
TDP105WのRyzen 7 5800Xだが、ブースト機能が働くため「CINEBENCH R23」実行時のシステム消費電力は定格でも230W近くまで上昇。しかし、ウォーターブロックファンが無効の場合でもMOSFET温度は51.5℃までしか上がらず、電源回路の冷却性能は優秀だ。またウォーターブロックファンを有効にすると、温度は約47.5へと4℃低下。サーモグラフィでもヒートシンクの温度が全体的に下がっている事がわかる。
今回のテストではグラフィックスカードに長さ323mmの「GeForce RTX 3080 GAMING X TRIO 10G」を使用。チップセットヒートシンクのほぼ半分が隠れているが問題なく冷却できるのだろうか |
最後にチップセットに実装されているファンレスヒートシンクの冷却性能をチェックしていこう。ストレステストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」、「CrystalDiskMark 8.0.4」(「M2_2」にSSDを搭載して約30分間実行)、「Time Spy Extreme Stress Test」の3種類で、チップセットの温度計測には「HWiNFO 7.10.0」使用している。
アイドル時のサーモグラフィ | 高負荷時のサーモグラフィ |
チップセットへの負荷がほとんどない「CINEBENCH R23」では常に47℃でフラットなグラフ。またチップセットへのアクセスが増える「CrystalDiskMark 8.0.4」で53.5℃、グラフィックスカードからの暖気が吹き付ける過酷な条件となる「Time Spy Extreme Stress Test」でも59℃までしか上がらず、高負荷時でもチップセットの温度は低く保たれていた。
AMD X570を採用しながらヒートシンクファンを排除した「MPG X570S CARBON MAX WIFI」。高負荷時でもチップセットの温度は60℃を超えることはなく、冷却性能には全く不安はない。また豊富なフェーズ数や、高効率なパーツの採用、そして強化された冷却システムにより、電源回路の発熱が最小限に抑えられているのも、ブースト機能によって大きくパフォーマンスが引き上げられるRyzen 5000シリーズを使う上では大きなメリットだ。
さらに2.5ギガビットLANや、Wi-Fi 6E対応の無線LAN機能、Realtek「ALC4080」をベースにした「Audio Boost 5」など、最新機能も充実している。これからハイエンドPCを組む人はもちろん、発売から2年以上が経過し、機能や設計にやや古さが見えている初期型AMD X570マザーボードからのアップグレードにもオススメだ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社