エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1063
2021.10.13 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ゲーム関連のベンチマークが一段落したところで、消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
アイドル時の消費電力はいずれも約65Wで横並び。一方、高負荷時の消費電力はRadeon RX 6600 XTの約8割で41.5Wも低下。これはTGPの差(28W)を上回る結果で、Radeon RX 6600の省電力性能はとても優秀だ。AMDの言う通り、450W以上の電源ユニットがあれば十分まかなえる計算で、電源容量の関係でグラフィックスカードのアップグレードを諦めていた人には、まさに待望の製品になるだろう。
テストセッションのラストは「PULSE AMD Radeon RX 6600 GAMING 8GB GDDR6」に実装されているオリジナルファンクーラー「Dual-X Cooling」の冷却性能をチェックしていこう。なお消費電力の計測と同じく、ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使用している。
ファンの回転数はテスト開始直後に一瞬だけ1,550rpmまで上昇するものの、その後は1,300~1,400rpm前後で推移。GPU温度も最高75℃、Hot Spot温度も最高86℃で頭打ちになった。さらにファンのノイズも明らかにCPUの冷却に使っていた水冷クーラーより静かで、バラック状態でも全く気にならなかった。
Radeon RX 6000シリーズでは、現状最も下位に位置づけられる「Radeon RX 6600」。今年8月に発売が開始されたRadeon RX 6600 XTとの比較では約8割のパフォーマンスと差はあるものの、メインターゲットに据えるフルHDまでならほぼすべてのゲームで画質に妥協することなく快適にプレイできる。
さらにバトルロイヤル系ゲームなら、設定しだいで超高リフレッシュレート液晶との組み合わせも現実的な選択肢になる。それでいて消費電力は大幅に低下。ワットパフォーマンスは非常に優秀であることから、人気を博しそうだ。
唯一の懸念となりそうなのが流通量。特に上位モデルであるRadeon RX 6600 XTは、マイニング用途での人気もあり品切れが続いている状態。流通量の大幅な改善が難しいのであれば、そろそろAMDのGPUにもNVIDIA GeForce RTX 30シリーズのようなハッシュレート制限などの対策を検討する必要があるだろう。
そして今回の主役である「PULSE AMD Radeon RX 6600 GAMING 8GB GDDR6」に目を向けると、長さ約190mm、2スロット厚のコンパクト設計により、扱いやすさは抜群。「Dual-X Cooling」の冷却性能や静音性も高く、特に内部スペースが制限されるMini-ITXをベースにした、コンパクトなゲーミングPCのアップグレードにはピッタリの1枚だ。
協力:SAPPHIRE TECHNOLOGY LIMITED
株式会社アスク