エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1072
2021.11.09 更新
文:撮影・こまめ
「Summit E16 Flip A11U」では本体内部の冷却に、新設計の「Dynamic Cooler Boost」と呼ばれるシステムが採用されている。2つの空冷ファンと3本のヒートパイプ、大型の排熱フィンで構成されたシステムは、内部で発生した熱を効果的に排出可能だ。
大きめの吸気口が設けられている底面部 | 本体内部の冷却システム。比較的コンパクトな構成だ |
本体内部のM.2スロットは、Wi-FiカードとSSDで利用。メモリはオンボードだ。なおユーザー自身が分解やパーツ交換を行なうとメーカー保証の対象外となるので注意していただきたい。ストレージの増設等は、MSI公認サポート店のみで対応している |
排気口は本体背面部のヒンジとヒンジの間に配置。クラムシェル型のノートPCモードでは温風がディスプレイに当たるが、変形時はそのまま排出される |
高負荷時におけるキーボード面の熱をサーモグラフィで確認したところ、もっとも熱い部分でも排気口の42℃前後が最大だった。キーボード部分は35℃前後で、熱はほとんど感じられない。「Dynamic Cooler Boost」の高い冷却性能が効果的に働いているのだろう。ただし高負荷時の排気音が大きく、ファンスピードを最大にすると53.5dBAとうるさく感じるほどだった。ある程度の音は仕方がないが、高いパワーが不要の場合は動作モードを調整するといいだろう。ファンが最大出力で動作していない場合は38.1dBAで非常に静かだ。
排気口付近は熱が上がっているが、実際の利用では特に気にならなかった |
ディスプレイのサイズは16型で、解像度は2,560×1,600ドットのWQXGAだ。一般的なフルHD(1,920×1,080ドット)に比べてピクセル比でおよそ1.98倍。画素密度は189ppiで、映像はとても高精細に映し出される。アスペクト比は16:10で、16:9の画面よりも編集領域がやや縦長だ。そのぶんクリエイター向けソフトなどで縦方向に延びるパネルがより多く表示されるほか、3:2の比率が多いカメラ画像では編集領域とのフィット感が高い。
縦方向に長いアスペクト比16:10の16型ディスプレイ。文字中心の資料では、16:9よりも数行程度多く画面の表示される | デジタル一眼レフカメラに多い3:2の写真が、編集領域に自然に収まって映し出される |
色域は公式スペックで「DCI-P3相当」とされている。実際にキャリブレーターで色域を計測したところ、DCI-P3カバー率は99.1%、sRGBカバー率は100%、AdobeRGBカバー率は87.5%だった。発色が素晴らしく、一般的なsRGB 100%のパネルと比べると赤の鮮やかさが段違い感じる。感覚的には高品質なスマホやタブレットに近い色合いだ。計測輝度は430nit。一般的には250~300nit程度で、「Summit E16 Flip A11U」の画面は非常に明るく感じる。このクオリティであれば、プロレベルのクリエイティブワークにも活用できるだろう。
DCI-P3相当の広色域ディスプレイを採用。映像は非常に明るく、色鮮やかだ |
キャリブレーターで計測した結果、DCI-P3カバー率は99.1% |
ディスプレイのリフレッシュレートは120Hzで、通常の60Hzの倍に相当する。高いリフレッシュレートはゲームのプレイに有利ということは知られているが、実は普段の作業でも有用だ。動きが非常になめらかなので、カーソルやウィンドウ、選択範囲などを狙った場所にピクセル単位でビシッと止められる。またペン入力の反応も向上し、より精密な描画や操作が可能なのだ。
高リフレッシュレートはウィンドウやカーソルを思いどおりに動かせるほか、ペン入力の精度も向上する |