エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1078
2021.11.26 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
高速なNVMe M.2 SSDのサーマルスロットリングを解消するため、上段のM.2スロットにはSSDを両面から冷却する「Double-Sided M.2 Heatsink」を搭載する。そこで今回は「CrystalDiskMark 8.0.4」をデータサイズ64GiB、テスト回数を9回に設定して3回連続で実施し、その温度と転送速度を確認してみることにした。なお「HWiNFO」では、SSDのログが取得できなかったため、温度は「CrystalDiskInfo 8.12.12」、転送速度は「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果を採用している。
ヒートシンクなしの「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 | ヒートシンクありの「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 |
今回検証に使用したオールインワン型水冷ユニット「ROG RYUJIN II 360」には、ウォーターブロック部分に冷却ファンを搭載していることもあり、ヒートシンクなしの状態でも最高温度は69℃とこれまでのテストに比べてやや低めだった。しかし、ストレステストの2回目以降はサーマルスロットリングが発生し、シーケンシャルアクセスは読込が約3,300MB/sec、書込は約2,700MB/secで頭打ちになる。
一方、ヒートシンクを搭載した場合の最高温度は58℃で、ヒートシンクなしに比べて11℃も低下。さらに転送速度もシーケンシャル読込が約6,900MB/sec、書込は約5,200MB/secで、サーマルスロットリングも発生せずSSDの性能を存分に発揮することができる。
ヒートシンクなし:アイドル時のサーモグラフィ | ヒートシンクなし:高負荷時のサーモグラフィ |
ヒートシンクあり:アイドル時のサーモグラフィ | ヒートシンクあり:高負荷時のサーモグラフィ |
そしてサーモグラフィの結果を確認すると、ヒートシンクなしの状態ではアイドル時でも最高58.7℃、高負荷時には90.9℃に達し、やはりウォーターブロックにあるファンだけでは冷却性能は不足している。PCI-Express4.0(x4)接続のハイエンドNVMe M.2 SSDを使用する際には、忘れずにマザーボードのヒートシンクを装着しておくようにしよう。
ASUS「ROG STRIX Z690-F GAMING WIFI」では、高負荷状態が長時間続くようなシーンでも安定動作ができるよう、リアインターフェイス部分にまで大きく迫り出す大型のヒートシンクを搭載している。そこでストレステスト「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使い、定格では最高クラスの負荷をかけて、電源回路(VRM)の温度がどう変化するのか確認しておこう。
なお今回は、オールインワン型水冷ユニット「ROG RYUJIN II 360」のウォーターブロックに実装されている空冷ファンからの風が当たる状態に加え、周囲をプラスチックのカバーで覆い、ファンからの風をできる限りカットしたより過酷な条件でも計測を実施している。また「HWiNFO64 7.14」では「VRM」温度が取得できなかったため、計測には「AI Suite 3」を使用した。
電源回路「VRM」の温度は「AI Suite 3」を使い取得した |
Core i9-12900Kでは、「Maximum Turbo Power」が241Wに設定されているため、CPUが中心のストレステストでもシステム全体で350Wを超える電力を消費していた。それにも関わらずVRMの温度はウォーターブロックファンのエアフローがある場合は最高でも58℃、エアフローをカットした場合でも最高64℃までしか上がらず、冷却性能はとても優秀だ。ウォーターブロックにファンの無い標準的なオールインワン型水冷ユニットを組み合わせた場合でも、電源回路の冷却性能が不足することはないだろう。