エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1080
2021.12.02 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
「Z690M AORUS ELITE DDR4」の上段M.2スロットには、高速なNVMe M.2 SSDのサーマルスロットリングを解消するため、専用ヒートシンク「M.2 Thermal Guard」が実装されている。そこで今回は負荷テストとして「CrystalDiskMark 8.0.4」をデータサイズ64GiB、テスト回数を9回に設定して3回連続で実施し、その温度と転送速度を確認してみることにした。なお通常使用している「HWiNFO」では、SSD温度のログが取得できなかったため、温度は「CrystalDiskInfo 8.12.12」、転送速度は「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果をそれぞれ採用している。
ヒートシンクなし:テスト3回目の「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 | ヒートシンクあり:テスト3回目の「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 |
高負荷時の温度はヒートシンクなしの71℃に対して、ヒートシンクありが67℃。4℃しか差が無いように見えるが、これはヒートシンクなしの状態ではテスト直後に一気に温度が上がり、即サーマルスロットリングによって転送速度が低下するため。実際、ヒートシンクなしの2回目や3回目ではシーケンシャルアクセスはいずれも半減、ランダムアクセスにおいては3分の1以下になるものもあり、その能力を発揮することができていない。
ヒートシンクなし:アイドル時のサーモグラフィ | ヒートシンクなし:高負荷時のサーモグラフィ |
ヒートシンクあり:アイドル時のサーモグラフィ | ヒートシンクあり:高負荷時のサーモグラフィ |
またサーモグラフィの結果を確認すると、ヒートシンクなしの状態ではアイドル時でも60℃以上、高負荷時にはコントローラ部分が100℃を超えるなど正直常用はためらわれる状態。ミドルレンジやローエンドクラスのNVMe M.2 SSDでは発熱が少ないものもあるが、PCI-Express4.0(x4)接続のハイエンドモデルを使うなら、必ずヒートシンクを装着した状態で運用しよう。
「Easy Tune」の「Smart Boost」機能を使えば、ワンクリックでオーバークロックが可能だ |
続いて、簡単にCPUの性能を引き上げることができる「Easy Tune」の「Smart Boost」機能によるワンクリックオーバークロックを試してみることにしよう。なおベンチマークテストには「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」「CINEBENCH R23」の3種類を使用した。
マルチスレッド処理時は「Eコア」は3,700MHz、「Pコア」は4,600~5,000MHzで変動していた | シングルスレッド処理時は「Eコア」は3,700MHz、「Pコア」は5,000MHzで動作 |
「Smart Boost」機能から「OC」プロファイルを選択すると「Pコア」は最高5,000MHz、「Eコア」は最高3,700MHzにクロックが上昇し、シングルコアテストは設定値通りのクロックが常に維持される。また処理の重いマルチコアテストでは、CPU Packageの温度が100℃に達するため、「Pコア」は4,600~5,000MHzで大きく変動するものの、「Eコア」は3,700MHzを維持することができていた。
「CINEBENCH R15」のスコアを確認すると、定格時に「Pコア」が最高4.90GHz、「Eコア」が最高3.60GHzまで上昇するシングルコアテストで約3%、「Pコア」が4.50GHz、「Eコア」が3.40GHzで動作するマルチコアテストでは7%以上もスコアが向上した。
「CINEBENCH R20」では、シングルコアテストは「CINEBENCH R15」とほぼ同じ約3%スコアが上昇。ただし、マルチコアテストではテスト後半の動作クロックが4.70GHz前後まで低下することもあり、約5%へと差が縮まっている。
続いてよりテスト時間が長い「CINEBENCH R23」の結果を確認していこう。シングルコアテストについてはこれまでとスコアの傾向は全く同じ。一方、マルチコアテストでは4.70GHz前後での動作時間が長くなることも有り、その差は約3%に留まる。とは言え、1クリックでシームレスにチューニングができることから、少しでも性能を伸ばしたい場合には「Easy Tune」の「Smart Boost」は有効な機能と言えるだろう。