エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1095
2022.01.14 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
第12世代Intel Coreプロセッサは、リミット設定によりその挙動が変化することは、以前にCore i9-12900Kを用いた徹底検証でお伝えした通り。リミット値の初期設定はマザーボードごとに異なり、ミドルレンジ向けの「B660 Pro RS」の場合は、無理のないようにIntelの公称設定(PL1:65W/PL2:117W/151A)が適用されている。
今回は検証環境のCPUクーラーにオールインワン型水冷ユニットを使用していることから、このリミットを解除。PL1(Long Duration Power Limit)とPL2(Short Duration Power Limit)を4095.875W、Core Current Limitを511.75Aに設定し、最大パフォーマンス時の挙動を見ていくことにした。当然ながらマザーボードの電源回路にかかる負担も大きくなる格好だ。
なおASRockマザーボードには、同様にリミット値を調整してピーク性能を引き出す独自機能「ASRock BFB(Base Frequency Boost) Technology」が搭載されている。ただし「B660 Pro RS」における最大設定は150W(PL1)だったため、今回は手動設定の方を使用している。
まずはCPUのパフォーマンスを計測する「CINEBENCH」系のベンチマークテストを動作させてみた。ミドルレンジ向けCPUながらなかなか有望なスコアをマークしており、いずれもリミットを解除したカスタム設定が上回っている。ただしテスト時間が短いこともあり、スコア上の違いはそれほど大きくはない。
そこでより長時間負荷がかかった際の挙動を確かめるべく、「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を動作させることにした。
まずPackage Powerから見ていくと、標準設定では開始時こそ約70Wなものの、すぐに65W前後に落ち込んでいる。リミット値を解除したカスタム設定では約70Wをキープ、その結果動作クロックは約100MHz増しとなる約4,000MHzを維持できていることが分かった。
「B660 Pro RS」はコストパフォーマンスを重視したモデルとあって、Package Powerの上限値は概ね約70W。次はその状態における電源回路の負荷を観察するため、サーモグラフィーで温度をチェックしてみよう。
標準設定:アイドル時 | 標準設定:高負荷時 |
カスタム設定:アイドル時 | カスタム設定:高負荷時 |
リミット値を大きく変更したにも関わらず、ヒートシンクの発熱は最大でも60℃前後と大きく変わっていない。サイズの小さいヒートシンクがより高熱になる傾向はあるものの、いずれにせよ許容範囲内。ミドルレンジのCPUを組み合わせた場合であれば、「B660 Pro RS」はリミットを解放した状態でも十分に性能を引き出せる電源回路を備えているようだ。