エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1104
2022.02.09 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
今回検証に使用したCore i5-12600Kは、Intel標準仕様では電力指標のProcessor Base Power(PBP)が125W、ブースト時の最大消費電力を示すMaximum Turbo Power(MTP)が150Wに設定されている。しかし「B660M DS3H AX DDR4」の場合、実際に動作させてみるとマザーボード側ではPBPにあたるPower Limit 1は125Wなものの、MTPにあたるPower Limit 2は241Wだった。標準仕様に比べ、やや高めに設定されているというわけだ。
さらに検証環境のCPUクーラーがオールインワン型水冷ユニットであることから、それぞれのリミット値を解除したカスタム設定を用意し、無制限環境での挙動も合わせてチェックすることにした。
まずはCPUのパフォーマンスを計測する「CINEBENCH」系のベンチマークテストを動作させ、スコアを見ていこう。Core i5ながら前世代のCore i9を上回るパフォーマンスはさすがの一言。そしてどのテストにおいてもカスタム設定の方が初期設定を上回っているようだ。
そこで長時間の負荷がかかった際の挙動を確かめるため、30分間のCPU負荷テスト「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を動作させてみることにした。
まず初期設定での結果を見ていくと、動作クロックは約3.3GHz~約4.5GHzで推移しており、マルチスレッド時の最大クロックである約4.5GHzに高頻度でタッチしていることが分かる。クロックが変動しているのは、リミット設定によりCPU Package Powerが46~77Wで推移しているため。動作クロックに極端な落ち込みもないことから、無理のない設定であることが分かる。
ただし限定的なサイズのヒートシンクを搭載していることもあり、MOSFETのVRM温度は90℃台で推移。最大100℃にタッチすることもしばしばで、電源モジュールへの負荷も相応に大きいようだ。
続いてリミット値の制限をPL1とPL2ともに4095Wに設定した、無制限のカスタム設定における結果を見ていこう。動作クロックの変動範囲は先ほど同様に約3.3GHzから約4.5GHzだが、より最大クロックにタッチする頻度が増しているようだ。これはCPU Package Powerが60W~135Wで推移しているように、より多くの電力が供給されているためだ。
ただしVRM温度は90℃台後半~100℃に達する頻度も増しており、電源モジュールへの負担はより大きくなっていると思われる。この状況を考慮すると、マザーボードの初期設定はだいぶバランスの良いセッティングのようだ。ミドルクラスのCPUを無理なく動作させるというミッションは、十分に達成できている。
初期設定:アイドル時 | 初期設定:高負荷時 |
カスタム設定:アイドル時 | カスタム設定:高負荷時 |
なお、負荷テスト中の電源周りの状態をサーモグラフィで観察してみると、やはりカスタム設定時の表面温度がワンランク高くなっていることが分かる。また、ヒートシンクの有無による発熱の違いも顕著で、ヒートシンクを搭載していない上部のモジュールは最大で20℃以上も高温になっているようだ。いくら高耐久部材を使用しているとは言え、無理は禁物ということだろう。