エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1108
2022.02.21 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
高品質なパーツで構成される11フェーズの電源回路を搭載する「Z690 Phantom Gaming-ITX/TB4」。「BFB Technology」では最高250Wまで設定することができた |
第12世代Intel Coreプロセッサでは電力制御方式が変更され、リミット値を調整することで長時間ピーク性能を維持できるようになった。この特性を活かし、ASRockではリミット値が低く設定されているNon-Kモデルのパフォーマンスを限界まで引き出すことができる独自機能「BFB Technology」が搭載されている。
そこで「BFB Technology」を有効にすることで、どの程度クロックやPackage Powerが変わるのか、ストレステストに「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使用して確認していこう。
標準設定のリミット値はPL1=65W、PL2=202Wだった | 「BFB Technology」で250Wを選択するとPL1、PL2とも250Wに引き上げられる |
標準設定では、テスト開始直後こそPコアクロックが4.50GHz、Package Powerが160W弱まで上昇するものの、約30秒でPコアクロックは3.20GHz、Package Powerは65W前後まで低下してしまう。一方、「BFB Technology」で250Wを選択すると、Pコアクロックは4.50GHz、Package Powerは160W弱を常に維持することができるようになる。
ちなみに高負荷時の消費電力は118.9Wから229.4Wへと約100W増加したが、360mmラジエターの大型水冷ユニットCORSAIR「iCUE H150i ELITE LCD」を搭載していることもあり、CPUの温度は60℃半ばで頭打ちだった。またサイズ「虎徹 Mark II」でもチェックをしてみたが、CPUの温度は80℃前後までしか上がらず、冷却については標準的なサイドフローCPUクーラーで十分に賄うことができる。
「BFB Technology」の効果を確認したところで、各種ベンチマークテストを使いパフォーマンスへの影響をチェックしていこう。
「CINEBENCH R15」の結果を確認すると、シングルコアテストについてはPackage Powerが65Wに収まるため、「BFB Technology」を有効にしてもスコアに差はでなかった。またマルチコアテストでもテスト時間が短く、テストが完了するまで高クロック状態がほぼ維持できることからその差は約2%に留まる。
「CINEBENCH R20」でも、シングルコアテストについては「BFB Technology」の有効・無効による差はでなかった。しかし、マルチコアテストではテスト完了までの時間が「CINEBENCH R15」より大幅に長くなるため、「BFB Technology」を有効にすることで25%もパフォーマンスが向上した。
「CINEBENCH R23」でも、スコアの傾向は「CINEBENCH R20」とほぼ同じ。ただし、マルチコアテストの差は約27%へとさらに広がっている。ちなみに以前検証したCore i7-12700Kとの差はシングルコアテストで約4%、マルチコアテストでも「BFB Technology」を有効にした場合は約5%しかなく、コストパフォーマンスを考慮すると「Z690 Phantom Gaming-ITX/TB4」(BFB Technology有効)とCore i7-12700の組み合わせは、Core i7-12700Kの代替えとして有望な選択肢になるだろう。
ゲーム系ベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV︓暁月のフィナーレ」を確認すると、「CINEBENCH系」のシングルコアテストと同様大きな差は出なかった。ここまでの結果を見る限り、「BFB Technology」によってパフォーマンスが改善するのはマルチスレッド処理が中心であると考えて良さそうだ。