エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1114
2022.03.08 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
最後は長時間に渡るゲームプレイ時の挙動をチェックするべく、MMORPGの人気タイトル「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークを動作させてみた。負荷が最も高くなるように、グラフィックス設定は「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットにセット。これまで同様に30分間ループでテストを実行している。
なお、ベンチマーク実行中の消費電力は最大504Wで、ピーク時は電源ユニットが最も効率よく動作する負荷50%ラインに達していた。「3DMark」とほぼ同じであり、実際にシステムを運用する上では、このくらいが現実的な負荷と言えそうだ。
ATX12V |
EPS12V | PCI-Express 12V |
ATX12Vはアイドル時の12.04Vからほぼ変動がなく、時折12.05Vに上がる程度。「3DMark」とまったく同じ挙動を示しており、安定した出力でシステムに電力を供給できていることが分かる。
その一方でEPS12Vは、これまでで最も活発な変動が見られた。基本は12.07Vと12.08Vで切り替わりつつ、ベンチマークの切れ目で12.05Vに下がるといったところ。ただしかなり拡大したグラフの見かけ上、変動が大きいように感じるだけで、その変動幅は(アイドル時の12.04Vから)たったの0.04Vにすぎない。全体的には、ほぼ一定の出力を維持できているというわけだ。
そしてPCI-Expressは、アイドル時の12.04Vからベンチマークスタートで12.02Vに下がり、時折12.03Vに上がるというもの。「3DMark」とほぼ同じパターンなほか、数値以外の傾向は「OCCT」実行時とも変わらない。極めて安定した電力をハイエンドグラフィックスカードに供給できている。
「ROG-THOR-1000P2-GAMING」は、まさに異例尽くしな電源ユニットという印象だ。システムの構成物にあって黒子のような立ち位置のパーツながら、ARGBライティングで自己主張する外観。これは昨今のPCケースがシュラウドに“覗き窓”を設け、銘柄を露出させることが増えていることを計算したものだろう。消費電力をリアルタイムで表示する「OLEDパワーディスプレイ」もまた、魅せ要素を意識した実用的なギミックだ。
筐体デザインも凝った作りになっているのだが、何より驚かされたのは、その内部に収められた巨大なヒートシンク。高効率で発熱の低いPLATINUM認証モデルでありながら、常識はずれの大型ヒートシンクと独自技術の高静圧ファンを組み合わせ、究極の静音動作を狙う。市場において、ここまでの規模の冷却機構を備えた電源ユニットは、まず存在しないのではないだろうか。事実負荷テスト中も冷却ファンの動作音は極めて穏やかであり、“最も静かな1000W電源”というコンセプトは見事に達成されていた。
電源ユニットに本来求められる安定性の高さもまた、満点と言っていい出来栄え。フルロード時でも微細な変動幅で常に一定の出力を維持できる実力は、エンスージアストが求めるハイエンド級マシンの心臓に相応しい。電源ユニット単体で約50,000円とは疑いなく超高額だが、そのプライスに見合う価値は十二分にあるように感じた。
協力:ASUS JAPAN株式会社