エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1121
2022.03.29 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
先代モデルと同様、ワークステーションでの用途も想定しているGeForce RTX 3090 Ti。そこで、GPUレンダリングのパフォーマンスについても確認をしておこう。まずは「V-Ray 5:GPU RTX」のスコアからだ。
「V-Ray 5:GPU RTX」では、あまりGPUクロックやメモリクロックの影響がないようで、スコアの向上率は約3%とCUDAコア数の増加数にほぼ準ずる結果。とは言え、ワークステーションで行う処理は一般的なデスクトップPCで行う処理よりもデータサイズが大きく、作業時間も非常に長くかかることから、約3%とは言え作業時間が短縮できるメリットは無視できないだろう。
続いて「Blender 3.1.0」の結果も確認していこう。レンダリングにはGPUを使用し、サンプルには「monster」「junkshop」「classroom」の3種類を選択している。
「V-Ray 5:GPU RTX」と同じく、いずれのサンプルでもその差は約3%で、やはりクリエイター向けのアプリケーションではCUDAコア数の影響の方が大きいようだ。ちなみにNVIDIAから提供された資料によると、3Dレンダリングを行う「Blender」や、8Kのビデオ処理にも対応する「Blackmagic Design Davinci Resolve DaVinci」などで、巨大なデータファイルを扱う場合、ビデオメモリが不足すると処理自体が実行できないことがあるという。ワークステーション用途で使用する場合は、コンシューマ向けでは最大となる24GBのビデオメモリを搭載するGeForce RTX 3090 Tiは非常に有望な選択肢になるだろう。
ゲーム、クリエイター向けソフトのいずれのテストでもGeForce RTX 3090からパフォーマンスが向上しているGeForce RTX 3090 Ti。続いて、公称値では100W増加しているという消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
今回はいずれもオーバークロックモデルでの計測のため純粋なGeForce RTX 3090とGeForce RTX 3090 Tiの比較ではないが、高負荷時の消費電力は約80W増加しており、NVIDIAの公称値に近い差があるのは間違いないだろう。GeForce RTX 3090 Tiを使う際には、PCI-Express 8pinコネクタを3系統以上搭載する大容量電源ユニットを用意するようにしよう。
テストセッションのラストはオリジナル3連ファンクーラー「TRI FROZR 2S」の冷却性能を検証していこう。ストレステストは「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使い、ファンの回転モードは「SILENTモード」(デフォルト)と「GAMINGモード」を選択している。
先代モデルから80W以上も消費電力が増加しているにも関わらず、高負荷時の温度は「SILENTモード」で79.1℃、ファンの回転数は1,600rpm前後までしか上がらず静音性を損なうことなく、GeForce RTX 3090 Tiを冷却することができている。さらに「GAMINGモード」にすることで、ファンの回転数は2,000rpm前後まで上昇し、GPUの温度は74.4℃へと約5℃低下する。今回はバラックでのテストのため風切り音の変化を確認できたが、実際にPCに組み込んで、さらにヘッドセットをした状態なら気にならないレベル。回転数は本体のスイッチで簡単に切り替えができるため、自分の使い方にあったほうを選択するといいだろう。
2020年9月に登場したGeForce RTX 3090以来、約1年半ぶりに更新されたNVIDIAのフラッグシップGPU GeForce RTX 3090 Ti。CUDAコア数こそ約2%と微増に留まるものの、コアクロックやメモリクロックが大幅に引き上げられたことで、特にゲーム性能がしっかりと向上しているのは嬉しいところ。4K以上の高解像度はもちろん、フルHD/360HzやWQHD/240Hzなど、解像度を抑えつつリフレッシュレートを稼ぎたいというニーズにも応えてくれる。
そして今回の主役である「GeForce RTX 3090 Ti SUPRIM X 24G」に目を向けると、強力な電源回路や実質4スロットを専有する巨大3連ファンクーラー「TRI FROZR 2S」により、リファレンスモデルからさらに100MHz近くクロックが上昇しており、現行のグラフィックスカードの中では間違いなく最高峰のパフォーマンスを発揮する。
2kgを超える重量や、330mmを超えるカード長、そしてGPU中心の負荷で600Wを超える消費電力など、扱いにくさはあるもののフラッグシップモデルでそれらに言及するのは野暮というもの。とにかくパフォーマンスを重視したいユーザーにとって、NVIDIAの最強GPUの性能を存分に引き出すことができる「GeForce RTX 3090 Ti SUPRIM X 24G」は魅力的な製品に映ることだろう。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社