エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1122
2022.03.31 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
メモリ帯域では良好なパフォーマンスを発揮したDDR5メモリだが、CPU性能を計測するCINEBENCH系のベンチマークではどのような影響があるのだろうか。今回はCINEBENCH R15/R20/R23の3種類で計測を実施した。
最も処理の軽い「CINEBENCH R15」では、シングルコアテスト、マルチコアテストともスコアの差は1%未満でメモリ種別やメモリクロックによる違いはないようだ。
「CINEBENCH R15」に比べると処理が重く、テスト時間が2倍以上に増える「CINEBENCH R20」だがスコアの傾向は変わらず。シングルコアテスト、マルチコアテストとも差はやはり1%未満に留まり、メモリの影響は無視して良さそうだ。
メニーコアCPUに最適化されている「CINEBENCH R23」でもスコアの傾向に大きな違いなかった。このことから純粋にCPU性能のみを計測するようなベンチマークテストでは、メモリの影響はほぼないと断言していいだろう。
CPU向けベンチマークとして、圧縮・解凍ソフトの「7-Zip」に実装されている内蔵ベンチマークの結果も確認しておこう。
「7-Zip」では、データの圧縮と展開の2種類の処理でベンチマークを実施するが、展開についてはメモリの影響は見られなかった。しかし、圧縮ではDDR4-3200とDDR5-4800では30%以上、DDR4-4800とDDR5-5600でも約10%処理速度が向上しており、メモリ帯域の影響が非常に大きいことがわかる。
そこで「タスク マネージャー」でメモリの使用量を確認したところ展開中はほとんどメモリ使用量が変わらないのに対して、圧縮中は処理が進むにつれて使用量が増えており、頻繁にメモリにアクセスしていることがわかる。なおCINEBENCH系のベンチマークでも確認をしたが、こちらはベンチマーク開始時にメモリ使用量が増えるものの、テスト中はほぼ一定で、やはりメモリへのアクセスがほとんどなかった。
「7-Zip」ベンチマークの展開時はほとんどメモリを使用せず、圧縮時にメモリ使用量が増加。そして再び展開処理によってメモリ使用量がガクッと減るサイクルが繰り返される |
「CINEBENCH」系のベンチマークでは、テスト開始時のみメモリ使用量が増えるものの、その後はほとんど変わらず実行中はほとんどメモリアクセスが発生していなかった |
CPU関連のテストが一段落したところで「PCMark 10 Extended」を使い、システムへの総合的な影響を確認していこう。
総合テストではDDR4-3200がDDR5-4800を約2%だが逆転しており、現在のシステムではDDR5メモリの帯域幅が行かせないシーンもあることは覚えておく必要がある。ただし、DDR5-5600の設定ではレイテンシが低下することもあり、総合スコアはもちろん、個別のテストでも全てトップを獲得しており、低レイテンシ・高クロックなオーバークロックメモリを購入するメリットは確実にある。