エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1128
2022.04.14 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
AMD「Ryzen 7 5800X3D」 市場想定売価税込65,300円(2022年4月22日午前11時発売予定) 製品情報(AMD) |
今回の主役である「Ryzen 7 5800X3D」は、AMDの最新技術「3D V-Cache」を採用した初のコンシューマ向けCPUだ。「3D V-Cache」は昨年6月に行われたCOMPUTEX2021の基調講演で初披露された技術で、CPUコア「CCD」の上部に64MBのキャッシュメモリ用SRAMを積層することで、これまでの3倍に当たる96MB(CCD内蔵の32MB+64MB)の大容量L3キャッシュを実現できるというもの。プロトタイプモデルではCCDが2基のRyzen 9 5900Xをベースにした製品が紹介されていたが、今年1月のCES 2022の基調講演で、製品版にはCCDが1基のRyzen 7 5800Xをベースにしたモデルとしてリリースされることがアナウンスされた。
「3D V-Cache」で実装されるSRAMキャッシュは、「CCD」と同じTSMC 7nm技術で製造され、接続には「Trough Silicon Via」(TSV:シリコン貫通ビア)と「Direct copper-to-copper bond」を組み合わせた最新技術「Hybrid bonding」を採用する。
「3D V-Cache」用の64MB SRAMはTSMC 7nmプロセスで製造され、サイズは41mm2 |
2Dインターコネクト技術である「C4」(Controlled collapse chip connection)との比較では約200倍、従来の3Dインターコネクト技術である「Micro Bump」との比較でも約15倍の高密度化に成功し、「Micro Bump」から電力効率は3倍に向上している。さらに帯域幅は2TB/secに達し、大量のデータを常に処理する必要があるゲームパフォーマンスを大幅に引き上げることができるという。
Ryzen 7 5800X3Dの「CCD」は、SRAMを積層させるため従来モデルより厚さが抑えられている |
CPUコアである「CCD」についてはRyzen 5000シリーズから変わらず「Zen 3」アーキテクチャを採用し、コア数はRyzen 7 5800Xと同等の8コア/16スレッドに対応。ただし、コアクロックはベースクロックが3.80GHz→3.40GHzに、最大ブーストクロックが4.70GHz→4.50GHzへと引き下げられており、このあたりが性能にどのような影響があるのかは気になるところ。またCPU電圧やクロック調整にも非対応とされ、オーバークロックはメモリのみの対応になる点にも注意が必要だ。
Ryzen 9 5900XやCore i9-12900Kとの比較では、多くのゲームで優れたパフォーマンスを発揮するとのこと |
その他L1キャッシュは512KB、L2キャッシュは4MB、メモリはDDR4-3200、TDPは105Wで、プラットフォームはこれまで通りSocket AM4に対応。チップセットはAMD 500シリーズの他、マザーボードメーカーが独自に対応する形ではあるがAMD 400/300シリーズもサポートする。
AMD 500/400シリーズチップセットでは「AGESA 1.2.0.6b」以降、AMD 300シリーズチップセットでは「AGESA 1.2.0.7」以降のBIOSを使用することで、Ryzen 7 5800X3Dの性能を最大限に発揮することができるという |