エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1131
2022.04.22 更新
文:撮影・こまめ
「UL Procyon」はアドビのクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストだ。このテストでは重いデータや高度な処理を行なうため、ハイアマチュア/プロ向けの作品作り向きと考えられる。比較用のデータは前述の「PCMark 10」と同じく旧世代ミドルハイゲーミングノートPC(Intel Core i7-11800H/16GBメモリ/1TB NVMe SSD/NVIDIA GeForce RTX 3070、比較機①)と、ハイエンドゲーミングノートPC (Ryzen 9 5900HX/32GBメモリ/2TB NVMe SSD/NVIDIA RTX 3080、比較機②)の2機種だ。
「Photo Editing Benchmark」は画像加工に関するテストを行なう。「Image Retouching」は「Adobe Photoshop」メインでメモリとGPUの性能が影響しやすく、「Batch Processing」は「Adobe Photoshop Lightroom Classic」メインでCPUとストレージの性能が影響しやすい。「Video Editing Benchmark」は「Adobe Premiere Pro」を使ったテストで、フルHD (H.264)および4K (H.265)動画の出力にかかった時間が計測される。こちらの結果は総合スコアのみだ。
このテストではCPU性能が強く影響する「Batch Processing」で非常に優れた結果となった。GPU性能が影響する「Image Retouching」と「Video Editing Benchmark」ではやや低いスコアだが、GPUのランク差を考えれば十分健闘していると言っていい。Alder Lake-Pシリーズの可能性を感じさせる結果だ。
「Stealth 15M B12U」で特筆すべき点は2点ある。ひとつ目は定格28W/最大64WのCPUとは思えないほど高いパフォーマンスだ。GPU性能はやや抑えられてはいたものの、CPU性能については驚くほかない。ふたつ目には、ディスクリートGPU非搭載のスリムノートPCと変わらないほど薄くて軽いボディが挙げられる。性能と薄さを高い次元でバランスさせるのは、実のところ非常に困難だ。熱設計と熱対策に定評のあるMSIだからこそ、実現できた筐体と言っていい。
これだけの品質と性能を実現できるのであれば、エントリー~ミドルレンジ向けのゲーミングノートPCやクリエイター向けノートPCではAlder Lake-Pを搭載した薄型タイプが主流になるかもしれない。非ディスクリートGPUタイプのスタンダードノートPCやモバイルノートPCが、飛躍的にパフォーマンスアップすることも考えられる。大げさな表現ではなく、すでにノートPCの新しい時代に突入しているのだ。第12世代をいち早く体感できる「Stealth 15M B12U」で、ぜひその息吹を感じていただきたい。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社