エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1134
2022.04.29 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
AMD「Ryzen 5 5600」 市場想定売価税込28,800円(2022年4月15日発売) 製品情報(AMD) AMD「Ryzen 5 5500」 市場想定売価税込23,300円(2022年4月15日発売) 製品情報(AMD) |
これまで手薄だったミドルレンジ帯をカバーするべく、2022年4月15日より国内発売が開始された新Ryzen 5シリーズの「Ryzen 5 5600」と「Ryzen 5 5500」。2020年11月に登場したRyzen 5 5600Xの下位に位置づけられる製品で、いずれも製造プロセスはTSMCの7nm FinFET、アーキテクチャはZen 3を採用し、コア数は6コア/12スレッドに対応する。
しかし、両モデルの内部構造は大きく異なる。上位モデルRyzen 5 5600は開発コードネーム「Vermeer」ことRyzen 5000シリーズをベースにした製品で、CPUダイである「CCD」には32MBの大容量L3キャッシュを内蔵している。また「CCD」と、メモリやインターフェイスなどのI/Oダイ「cIOD」(こちらは製造プロセス12nm)を分離したチップレット構造を採用するのも大きな特徴だ。
上位モデルRyzen 5 5600では、「CCD」と「cIOD」が分離したチップレット構成を採用するためDIFFUSED INが2つ刻印されている |
Ryzen 5 5600は開発コードネーム「Vermeer」をベースにしているためL3キャッシュは32MB |
一方、下位モデルであるRyzen 5 5500は、開発コードネーム「Cezanne」ことRyzen 5000GシリーズをベースにGPUを無効化した製品で、すべての機能が1チップに統合され、CPUダイである「CCD」のL3キャッシュは16MBへと半減している。またPCI-ExpressレーンもPCI-Express3.0に制限されているため、AMD X570/B550チップセットで使用する場合には注意が必要だ。
APUをベースにしたRyzen 5 5500では全ての機能が1チップに統合されているためDIFFUSED INの刻印も1つになる |
Ryzen 5 5500は開発コードネーム「Cezanne」ことRyzen 5000Gをベースに、GPU機能を無効化している。そのためL3キャッシュは16MBになる |
その他のスペックはRyzen 5 5600がベースクロック3.50GHz、ブーストクロック4.40GHz、L2キャッシュ3MB、TDPが65W。Ryzen 5 5500がベースクロック3.60GHz、ブーストクロック4.20GHz、L2キャッシュ3MB、TDPが65W。L3キャッシュ容量の他、最高クロックもRyzen 5 5600の方がやや高めに設定されているが、実際どの程度パフォーマンスに差があるのかは、テストセッションで明らかにしていく。
Ryzen 5 5600とRyzen 5 5500のパッケージデザインは全く同じ。上部の封印シールや、サイドの小窓からCPUそのものを確認しない限り判別することはできないだろう |
いずれもリテールクーラーとして、比較的薄型の「Wraith Stealth」が付属する |
なおプラットフォームはこれまでと同じSocket AM4で、チップセットはAMD 500/400シリーズに加えて、今回からAMD 300シリーズチップセットについてもメーカーからBIOSさえ提供されれば動作させることができるようになった。
メーカー独自の対応となるため、BIOSが提供されないモデルもあるが、AMD 300シリーズでも基本的にはRyzen 5000シリーズが動作するようになった。これにより、約5年前のマザーボードでも最新のCPUにアップグレードすることができる |