エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1136
2022.05.03 更新
文:撮影・松枝 清顕(解説)/ 検証セッション・池西 樹
最後に非接触型デジタル温度計によるヒートシンクのポイント別温度と、サーモグラフィの結果を確認していこう。CPUはCore i7-12700Kで、ストレステストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使用している。
高負荷時のポイント別温度計測結果 |
ポイント別温度を確認すると、No.1ヒートシンクはCPUに近いエリアが最も高く、離れるに従って温度が下がっていくセオリー通りの結果。またNo.2ヒートシンクの中央部分は、冷却ファンからの風が発生しないドラム(中心)部の温度がやや高めの数値を計測している。
幅の狭いNo.1ヒートシンク:アイドル時のサーモグラフィ結果 | 幅の狭いNo.1ヒートシンク:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
幅の広いNo.2ヒートシンク:アイドル時のサーモグラフィ結果 | 幅の広いNo.2ヒートシンク:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
そしてサーモグラフィの結果を確認すると、やはり幅の広いNo.2ヒートシンクは中央部分の赤く表示され、サイドフロー型CPUクーラー共通の泣き所になっている。またヒートパイプ部分の温度は周囲のヒートシンクより高く、受熱ベースから正常に熱移動されている様子が見て取れる。
高さに余裕が無いPCケースにおける、理想的な冷却を追求すべく生まれたNH-D12L。NH-U12S(120mmファン)158mmとNH-U9S(90mmファン)125mmの中間を埋めるNH-D12Lの高さ145mmは、多くの小型PCケースにとって救世主的な存在になり得るだろう。
ヒートシンクの設計もさることながら、固定穴の規定ピッチにこだわらない新設計ファンNF-A12x25rにより、検証通りの優れた冷却パフォーマンスを見せつけた。
オールインワン型水冷ユニットの台頭は近年著しく、ラジエターさえ設置できればCPUソケット上空の必要空間は、空冷で言うところのロープロファイルクーラー程度。それでいて高い冷却性能を得る事ができるとあれば、選択されて当然だろう。しかし水冷ユニットの売価に迫るNoctuaの高価な空冷クーラーは、迷わず購入されていくから興味深い。こと国内市場でのNoctua人気は確かなもので、まもなく販売が開始されるはずのNH-D12Lも、人気サイドフロー型CPUクーラーの仲間入りを果たすことだろう。
協力:Noctua