エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1136
2022.05.03 更新
文:撮影・松枝 清顕(解説)/ 検証セッション・池西 樹
製品の概要や搭載方法を確認したところで、ここからはNoctua「NH-D12L」の冷却性能を確認していく。まずは第12世代Intel CoreプロセッサのハイエンドモデルCore i7-12700Kの結果からだ。ストレステストは「OCCT 10.1.7:CPU:データセット大」と「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」の2種類を使用し、マザーボードのファンコントロール機能やリミット値(PL1=PL2=4,096W)はマザーボードの初期設定で計測を実施。またL.N.Aを使いファンの回転数を落とした状態でも検証を行っている。なお各種データは「HWiNFO64」で取得し、CPUの温度は「CPU Package」、動作クロックは「P-core 0 Clock」「E-core 0 Clock」の値を使用している。
12コア/20スレッド(Eコアが8コア/16スレッド、Eコアが4コア/4スレッド)に対応する第12世代Intel CoreプロセッサのハイエンドモデルCore i7-12700K |
冷却ファンの回転数や温度は「HWiNFO64 v7.22」で取得 | リミット値は実質無制限となるPL1=PL2=4,059.9Wでテストを実施した |
「OCCT 10.1.7」の結果を確認すると、標準時、L.N.A使用時とも途中何度か急激に上昇するところはあるものの、概ね80℃半ばで推移し、CPUの温度に大きな違いは出なかった。またCPUクロックやPackage Powerにも差はなく、実質リミット解除の設定でもまだ余力が残されている。
続いて「CINEBENCH R23」の結果を確認すると、L.N.A使用時は95~100℃まで上昇するのに対して、標準時は90~95℃で、平均温度も約4℃低くなった。CPUクロックやPackage Powerに差はなく、「CINEBENCH R23」のスコアにも違いはないものの、拡張命令に最適化されたマルチスレッドアプリケーションをCore i7-12700Kで動かす場合は、L.N.Aはなしの状態で使用するのがいいだろう。
アイドル時のファンの回転数はいずれも300rpm前半に留まる。ノイズレベルも暗騒音+1dBA未満で、耳を近づけても風切り音はほとんど聞こえず、ファンレスといっても差し支えのないレベルだった。
そして高負荷時の回転数を確認すると、標準時は公称最大値である約2,000rpmまで上昇している。ノイズレベルも約45dBAを記録し、テスト中にはシーという風切り音が聞こえてくる。さすがに静音とは言えないが、PCケースの中に収納してデスクの下に設置すればそれほど気になることはないだろう。
またL.N.Aを使用すると回転数は約1,700rpmで頭打ちになる。ノイズレベルも標準時から約5dBA低下し、聞こえてくるノイズも明らかに減っていた。マルチスレッドアプリケーションを常用する場合は温度的に厳しいが、ゲームやオフィスアプリケーションなど、シングルスレッドの処理が中心ならL.N.Aを装着し、静音性を追求するのもアリだ。