エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1137
2022.05.05 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
各種ベンチマークテストによる計測が一段落したところで、テスト中における各モデルの冷却パフォーマンスをチェックしておきたい。2スロットを超えるクーラーを搭載するモデルもある中で、それぞれどのように発熱をマネジメントしていたのだろうか。なお、ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使用し、GPU温度とファン回転数を「HWiNFO」を用いて計測している。
「DUAL-RTX3050-O8G」のGPU温度とファン回転数 |
まず「DUAL-RTX3050-O8G」から見ていくと、結果的に最も冷却面で優秀なのはこのモデルだった。回転数を1,700rpm前後に抑えつつ、GPU温度も70℃を下回っている。全モデル中で唯一2スロットに収まるクーラーを搭載しているわけだが、熱処理のハードルが低くなったGeForce RTX 3050の良好な特性に支えられ、静かにしっかり冷やせるカードに仕上がっている。
「TUF-GTX1660TI-O6G-EVO-GAMING」のGPU温度とファン回転数 |
続いて「TUF-GTX1660TI-O6G-EVO-GAMING」の方は、GPU温度を70℃にキープするように動作していることが見て取れる。もちろんそれ以上に冷やすことも問題ないはずだが、ファンによる騒音を可能な限り抑えるため、スマートな動作を選択しているというわけだ。ファン回転数も2,000rpmに達することなく、ケースに収まっている以上は静音性に文句は出ないだろう。
「DUAL-RTX2060-O6G-EVO」のGPU温度とファン回転数 |
「DUAL-RTX2060-O6G-EVO」の動作パターンも上記同様、GPU温度を70℃にキープするように動作しているようだ。3モデル中で最も大きなクーラーを搭載しながら、ファン回転数が2,000rpmを上回っているのは、それだけGPUの発熱が大きいからだろう。それでも騒音の上昇は最小限であり、一度システムに組み込んでしまえば気にならないはずだ。
各種検証の締めくくりとして、高負荷時における消費電力の違いを確認しておこう。ストレステストの「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間なにもせず放置した際の最小値をアイドル時に設定。ワットチェッカーで各モデルを計測している。
アイドル時の挙動は全モデルほぼ変わらず、高負荷時はGeForce RTX 2060が最も高い294Wをマークした。下位グレードのGeForce RTX 3050とGeForce GTX 1660 Tiは、ともに200W台前半に収まる控えめな結果で、優れた省電力性能は注目に値する。もっともすべてがフルロード時300W未満に収まっていることから、電源ユニットはミドルレンジ向けの500W~600Wクラスがあれば十分に賄えるだろう。
今回の検証において、なかなかいい具合に競ってくれたという印象の3モデル。「DUAL-RTX3050-O8G」と「TUF-GTX1660TI-O6G-EVO-GAMING」はパフォーマンスが拮抗することが多く、ミドルゲーマーの主戦場であるフルHD環境を幅広いタイトルで快適に遊べるポテンシャルがあった。「TUF-GTX1660TI-O6G-EVO-GAMING」のもつ優れたコストパフォーマンスは、コスト重視のユーザーにとって見逃せない要素になる。
そして前世代ながら上位グレードの「DUAL-RTX2060-O6G-EVO」は一段違う性能を備えており、WQHD解像度でも快適なプレイ水準を維持できるシチュエーションが多かった。「DUAL-RTX3050-O8G」がGeForce RTX 3050搭載モデルとしてはやや高めということもあり、価格差の割には性能面でお買い得さを感じる製品だ。
ただしレイトレーシング機能に関しては、元来非対応GPUだった「TUF-GTX1660TI-O6G-EVO-GAMING」では快適プレイは望むべくもなし。その点で「DUAL-RTX3050-O8G」は「DUAL-RTX2060-O6G-EVO」と同等かそれ以上のレイトレーシング性能を備えており、DLSSとの合せ技を使えば、タイトル次第で十分に現実的なプレイが可能だった。レイトレーシングを絡めたゲームプレイを選択肢に入れるなら、この2モデルから選ぶことになるだろう。
また、さすがは最新世代GPUということもあり、冷却など扱いやすさの側面では「DUAL-RTX3050-O8G」が抜きん出ていた。全長200mmに収まる最もショートなクーラーを備えつつ、冷却面での余裕も3モデル中で随一。さらに唯一2スロットに収まるコンパクト設計から、スリムPCなどスモールフォームファクタとの親和性も高い。
そしてすべてのモデルで共通するのは、「オートエクストリームテクノロジー」や高品質コンポーネントなどを採用するASUSグラフィックスカードならではの優れた信頼性だ。電源モジュールはもとより、可動部である冷却ファンも厳格な耐久性を備えており、長期間に渡って安心して運用できるメリットがある。製品によっては同クラス内でも価格が高めのモデルはあるものの、十分納得できるリターンが得られるはずだ。
協力:ASUS JAPAN株式会社