エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1138
2022.05.11 更新
文:撮影・藤田 忠
テストセッションの最後は、「PG-PH12T」の冷却パフォーマンスや、静音性、消費電力といった実使用時に、気になる点を確認していこう。
ストレステストには、「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」と、「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を利用。温度や動作クロックなどは「HWiNFO64 Pro」を使用して記録し、CPU温度は”CPU Package [℃]”、動作クロックの”P-core 0 Clock [MHz]”、”E-core 8 Clock [MHz]”としている。さらに「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」実行時は、GPUコア温度”GPU Temperature [°C]”、GPUホットスポット温度”GPU Hot Spot Temperature [°C]”、GPUクーラーファンの回転数もまとめている。
CPUがフルロードされる用途は少ないとは言え、「CINEBENCH R23」実行時はPower Limitが無制限であることもあり、Core i9-12900の温度は、100℃に達してしまいサーマルスロットリングが発生。動作クロックはPコアが3,990MHz前後、Eコアが3,192MHzまで落ちている。
実使用に沿ったCPU負荷になるゲーミングストレステストの「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」の結果を見ていこう。CPU負荷は15~20%台前半とあって、CPU温度は最大でも70℃で、テスト実行中はおおむね50~60℃台の不安のない温度で推移していた。
続いて、同テスト中のGPUコア温度やファン回転数から、デュアルファンGPUクーラーを搭載するInno 3D製GeForce RTX 3060 Tiグラフィックスカードの冷却性能を見ていこう。
「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」実行中のデュアルファンは、67%程度で動作しており、GPUコアの温度は60℃後半を維持している。GPUコア内の最大温度となるホットスポット温度は、最大で85℃に達したが、動作が不安定になることはなかったので安心して良い。
両ストレステスト実行時の騒音値もチェックしていこう。測定は机下に設置した際に頭が位置することになるPCケースフロントのトップから50cmの位置に加え、机の上への設置を想定して、フロントパネル中心から、50cm斜め前の位置で行っている。
「PG-P」シリーズは、フロントメッシュパネルのため、フロントに搭載されている2基のファンの動作音がダイレクトに聞こえてくる。実際、CPUファンが最大回転の3,000rpmに達する「CINEBENCH R23」実行時は、机下設置時こそ38.4dBAと40dBAを切ったが、机上設置時は42.1dBAで、風切り音がそれなりに耳につく。ただしアイドル時とゲーミング想定の「3DMark」実行時は40dBAを下回っており、一般的に静音と言える水準を満たしている点は好印象。評価機はCore i9-12900にBTOカスタマイズされているため、CPUクーラーも「Laminar RH1」に変更されている点を踏まえると、標準構成のCore i7-12700では、40dBAを切る可能性もあるだろう。
最後に「PG-PH12T」の消費電力をチェックして、テストセッションを締めくくろう。OS起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時。ストレステストの「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」、「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」実行中の最高値をまとめている。消費電力はラトックのWi-Fi接続ワットチェッカー「RS-WFWATTCH1」で確認している。
CPUがフルロードされる「CINEBENCH R23」実行時は、16コア/24スレッドのCore i9なのもあり、317.5Wとかなり高め。ただし、実ゲーミングを想定した「3DMark」実行時は、276.9Wの現実的と言える消費電力になっている。「PG-PH12T」は、標準構成で850Wの電源ユニットを搭載しているので、マージンも十分残っている。将来、CPUやグラフィックスカードをアップグレードする際はもちろん、数年使って多少電源ユニットがヘタったとしても大丈夫だろう。
抜群の通気性とカッコいいLEDギミックを備えるPowered by PhanteksのPCケースを採用する「PG-P」シリーズ。その筐体だけでもオススメと言えるところ、「PG-PH12T」はコストを抑えつつ高パフォーマンスが発揮できるように、バランス良い構成でまとめられた1台に感じる。とくにNVIDIA GeForce RTX 3060 Tiグラフィックスカードを搭載することにより、4Kに次ぐ高精細な環境で最高画質のプレイが楽しめるWQHDゲーミングも十分狙っていけるのは魅力的だ。
標準構成では、より性能を引き出すDDR5デュアルチャンネル動作にはメモリ追加が必要だったり、メインストレージが昨今のゲーム大容量化を考えると物足りなかったり、第12世代Intel Coreプロセッサの性能を引き出せる強力なCPUクーラーへの換装など、BTOカスタマイズが推奨される点があることも確か。しかし一級品のPCケースをはじめベース部分の完成度は高く、自分好みのカスタマイズで完成した1台は、十分な満足感を与えてくれるはずだ。
協力:株式会社アイティーシー