エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1141
2022.05.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原/テストセッション:池西 樹/Tawashi
続いて人気オンラインRPGの最新作「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークテストを実行していこう。グラフィックス設定は“最高品質”を選択し、解像度は1,920×1,080ドット(フルHD)、2,560×1,440ドット(WQHD)、3,840×2,160ドット(4K)の3種類を選択している。
グラフィックスカードは標準設定のGeForce RTX 3070 TiからGeForce RTX 3060 Tiに変更されているが、1,920×1,080ドットや2,560×1,440ドットでは最高判定の「非常に快適」を獲得。3,840×2,160ドットでも判定は上から3番目の”快適”、平均フレームレートも60fpsを超えており、4Kの高解像度ディスプレイを使用した場合でも最高品質でゲームを楽しむことができる。
バトルロイヤル系人気ゲームタイトル「フォートナイト」の結果も確認しておこう。解像度はこちらも1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類で、APIはDirectX 12を選択。グラフィックスクオリティは“最高”に加え、“最低”をベースに3D解像度を“100%”、描画距離を“最高”に変更したフレームレート重視のカスタム設定でも計測を実施した。
最高画質ではさすがに3,840×2,160ドットは厳しいものの、2,560×1,440ドットなら87.7fps、1,920×1,080ドットでは131.4fpsをマークし、最近安くなっている144Hzクラスの液晶ディスプレイとの組み合わせにちょうど良いだろう。
そして競技向けのカスタム設定では、1,920×1,080ドットで344.1fps、3,840×2,160ドットでも150fpsを超えるフレームレートを叩き出しており、超高リフレッシュレートな最新液晶ディスプレイを使用した場合でも、その性能を引き出すことができる。
テストセッションのラストは、消費電力とCPU温度を確認していこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「CINEBENCH R23」実行時と「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」実行時の最高値を採用している。
消費電力は「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」実行時で最高274W、CPUの消費電力が跳ね上がるPL2動作時の「CINEBENCH R23」でも最高313Wまでしか上がらなかった。CPUとGPUの両方に最大級の負荷がかかる場面でも600W以下に収まる計算で、750W電源ユニットを搭載する「G-GEAR Aim GB7J-H221/BRGB(GLASS&LED)」にとってはまだ電力的に余裕がある。
次に「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークを動作させ、実際のゲーミングシーンにおける温度推移も確認しておこう。
GPUは81℃前後で安定。CPUは消費電力が上がった一瞬80℃まで上昇する場面が見られたが、その後は40℃~50℃の間を推移していた。G-GEARオリジナル水冷クーラーはしっかりと仕事をしている。なお、ベンチマーク実施中の動作音は、PCケース内に収まっていることもあり、ほとんど気にならないレベルだった。
以前ほどの勢いはないが、短いスパンで新しい技術に上書きされるハードウェア。それに比べ、PCケースは比較的進化が遅く、10年前のプロダクトでも未だに現役として通用する。一方で、細かい改良や思いもよらぬ仕掛けの登場は、われわれ自作派を決して飽きさせることはない。振り返ればBTXなど多少の寄り道はあったものの、自作PCの歴史はATX(またはMicroATX)規格がベースとなり、未だ熟成を重ね続ける進化の途上にある。
今回取り上げたG-GEAR Aimのミニタワーケース「5TJ9-G」は、冒頭でも触れた通り、ツクモBTOとしては約10年振りの新デザインにして、企画から完成まで実に3年を要したという。”熟成を重ね続ける進化の途上”であるPCケースにとっては全く問題ではなく、十分な(?)インターバルと十分な製作期間は、新型筐体にとって必要な時間であったに違いない。それは検証を終えた「5TJ9-G」の出来映えに表れている。
奇をてらうことなく、シンプルかつイマドキの外観デザイン。限られた容量の中で構成パーツを効率良く配置し、無駄のない設計はまさに必要十分で、ロングセラー「G-GEAR mini」とは一線を画す明確なコンセプトの元で、カタチになっている。面白いのは、新型筐体のはずが既に熟成されていること。10年先を見据えたPCケースが「5TJ9-G」なのだ。
協力:ツクモ(株式会社ヤマダデンキ)