エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1142
2022.05.19 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
マザーボードへの取り付けが完了したところで、ここからはDeepcool「AK400」の冷却性能を確認していこう。まずは第12世代Intel CoreプロセッサのハイエンドモデルCore i7-12700Kの検証からだ。ストレステストは「OCCT 10.1.7:CPU:データセット大」と「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」の2種類で、マザーボードのファンコントロール機能は初期設定、リミット値はCPUの標準設定であるPL1=125W、PL2=190Wと、事実上の無制限であるPL1=PL2=4,096Wで計測を行った。なお各種データは「HWiNFO64」で取得し、CPUの温度は「CPU Package」、動作クロックは「P-core 0 Clock」「E-core 0 Clock」の値を使用している。
まずは12コア/20スレッド(Eコアが8コア/16スレッド、Eコアが4コア/4スレッド)の第12世代Intel CoreプロセッサCore i7-12700Kで検証を進めていく |
リミット値は、CPUの標準設定(左)であるPL1=125W、PL2=190Wと、ハイエンドマザーボードで設定されていることが多い事実上の無制限(右)になるPL1=PL2=4,096Wでテストを実施した |
CPU標準設定ではテスト開始直後こそPackage Powerが170W前後まで上がるものの、その後は125Wで維持されることもあり「OCCT 10.1.7」「CINEBENCH R23」とも約70℃で推移し、冷却性能にはまだ余裕が残されている。
続いて無制限設定を確認すると、Package Powerが最高でも200W前後までしか上がらない「OCCT 10.1.7」では、突発的に温度が上昇するところはあるものの概ね85~95℃で収まっている。
しかし、Package Powerが220Wを超える「CINEBENCH R23」では、CPUの許容する最高温度の100℃まで上昇してしまう。サーマルスロットリングと思われるクロックの低下は見られないものの、「AK400」とCore i7-12700Kの組み合わせで、拡張命令に最適化されたマルチスレッドアプリケーションを使う場合は、Power Limit値を200W以下になるよう調整したほうがいいだろう。
アイドル時のファン回転数はいずれもほぼ公称最低値の500rpm前半まで低下する。ノイズレベルも33dBA台で、バラック状態にも関わらずほとんど風切り音は聞こえず、ファンレスと言われてもわからないレベルだった。
また高負荷時の回転数を確認すると、CPU標準設定では約1,400rpmまでしか上がらず、ノイズレベルも40dBA未満に留まる。一方、無制限設定ではいずれもほぼフル回転となる約1,850rpmまで上昇。騒音値も約46dBAを記録し、PCケースに入れても風切り音を完全にシャットアウトするのは難しい。CPUの温度だけでなく、ノイズの観点からも「AK400」でCore i7-12700Kを使う場合には、Power Limit値は無理のないレベルに抑えた方が良いだろう。