エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1148
2022.06.01 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
各種ベンチマークテストによる計測が一段落したところで、本項ではテスト中における各モデルの冷却パフォーマンスをチェックする。「Radeon RX 6750 XT GAMING X TRIO 12G」と「Radeon RX 6650 XT GAMING X 8G」が搭載する、それぞれのオリジナルクーラーはどのようにカードを冷却していたのだろうか。
なお、ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使用し、GPU温度とファン回転数を「HWiNFO」を用いて計測している。
まず「Radeon RX 6750 XT GAMING X TRIO 12G」から見ていくと、GPU温度が65℃前後に抑えられた優秀な結果。ホットスポット温度も概ね90℃以下であり、ファン回転数はわずか1,300rpm程度で推移していた。搭載する3連ファンクーラーの「TRI FROZR2」は、かなり余裕をもってオーバークロック仕様のRadeon RX 6750 XTを冷却できているようだ。
続いて「Radeon RX 6650 XT GAMING X 8G」も合わせてチェックしていくと、やはりGPU温度は60℃チョイに抑え込む優秀な結果だった。ホットスポット温度も80℃前後と申し分なく、カード全体が万遍なく冷却されていることが分かる。回転数は1,300~1,400rpm程度と余裕があり、2連ファンクーラーの「TWIN FROZR 8」は十分すぎるほどRadeon RX 6650 XTの冷却に効果を発揮している。
各種検証の締めくくりとして、最後はそれぞれのグラフィックスカードを組み込んだシステム全体の消費電力を確認しておこう。ストレステストの「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間なにもせず放置した際の最小値をアイドル時に設定。ワットチェッカーで各モデルを計測した。
アイドル時はそれほど大きな違いは出なかったが、Radeon RX 6750 XTはRadeon RX 6650 XTとのTGP差(70W)を上回る約110Wの差をつけ、最大405Wまで消費電力が上昇していた。これは「Radeon RX 6750 XT GAMING X TRIO 12G」の方が、オーバークロックの割合が高めなためかもしれない。それでもAMD推奨の電源容量である650Wを搭載していれば、十分に余裕を持って動かせるレベルだ。
Radeon RX 6650 XTも同様で、最大294Wの消費電力であれば推奨される500Wの電源ユニットを組み合わせることで、まったく不安なくシステムを動かせるだろう。
新たに登場したRadeon RX 6750 XTとRadeon RX 6650 XTは、従来のRadeon RX 6000シリーズから動作クロックのみが引き上げられた、いわばマイナーチェンジモデルと言える。しかしクロックアップの効果は確かにあり、従来モデルに比べ順当にパフォーマンスが向上。Radeon RX 6750 XTは重量級タイトルを含む1,440pゲーミングを安定して遊べる性能があり、タイトル次第では4Kの高リフレッシュレートプレイも狙えた。
Radeon RX 6650 XTも1,080pゲーミングではこれ以上ないパフォーマンスを発揮。フルHD環境のプレイヤーにとっては、かなりヘビーなタイトルでも安心してプレイできるポテンシャルを備えていた。レイトレーシング性能にそれほど期待できないのは従来シリーズ同様だが、通常の環境におけるゲーミング性能は極めて有望。現状では従来シリーズとの価格差が気になるところ、今後価格がこなれてくれば、コスト面での懸念も無視できるはずだ。
そしてその中でも、今回検証を行った「Radeon RX 6750 XT GAMING X TRIO 12G」と「Radeon RX 6650 XT GAMING X 8G」は、優秀な冷却機構を備えた注目モデル。これまでMSIがVGAクーラー分野で培ってきたノウハウが多く詰め込まれたクーラーは、クロックが向上して負荷を増した新GPUを(さらなるオーバークロック動作で)難なく冷却していた。GPU温度を低く抑え込みつつ動作音は静粛そのもの。暑さを増していくこれからの季節を含め、長く不安なく運用できる信頼性抜群のグラフィックスカードだ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社