エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1154
2022.06.12 更新
文:撮影・藤田 忠
「RGB AIO Liquid Cooler 240MM」の制御系を理解したあとは、その冷却性能と静音性を確認するテストセッションへと進んでいこう。テストにはTDPが105Wとなる12コア/24スレッドのRyzen 9 5900Xを使用し、ストレステストとして「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」と、「OCCT 10.1.7:CPU(テスト時間 30分間、データセット 大、テストモード エクストリーム、負荷タイプ 一定)」を利用。テスト実行中のCPU温度などは、「HWiNFO64 Pro」を使って記録している。
ストレステスト実行時の「RGB AIO Liquid Cooler 240MM」のファン制御モードは、「静音」「通常」「パフォーマンス」「アドバンスト」の4モードに加えて、「アドバンスト」で、各温度での回転率を”100%”にカスタマイズした状態で行っている。また、フロントとリアに追加した計3基の「Razer Kunai Chroma RGB 120mm LED PWM」は、「Razer PWM PC Fan Controller」で回転数が450rpm前後になる「静音」モードで運用した。
TDP105WのRyzen 9 5900Xを使用 | 12コア/24スレッドで、動作クロックは3.7~4.8GHz |
CPUがフルロードされる「CINEBENCH R23」実行時、Ryzen 9 5900Xの「CPU Package Power」は130W台後半で推移し、最大では142W台になった |
まずはCPUに高負荷をかける「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」実行時のCPU温度(CPU (Tctl/Tdie))と動作クロック(Core 1 Clock (perf #1/1))をチェックしていこう。さすがにテスト後半こそ、ポンプの回転数が2,000rpm台まで上昇するものの、肝心のファン回転数が450rpm前後に固定される「静音」モードでは、CPU温度は80℃台半ばまで上昇。動作クロックも冷却不足で4,000MHzを切ってしまっている。「通常」「パフォーマンス」とファン回転数がアップするごとに、CPU温度は低下し、動作クロックも伸びている。ファン、ポンプともに100%にすることで、テスト実行中のCPU温度が60℃台でおおむね推移していることをみても冷却性能に不安はまったく感じない。
ベンチマークテスト:各動作モードでのCINEBENCH R23 CPU温度推移(℃/室温27℃) |
ベンチマークテスト:各動作モードでのCINEBENCH R23クロックの推移(MHz) |
続いて「OCCT 10.1.7:CPU(テスト時間 30分間、データセット 大、テストモード エクストリーム、負荷タイプ 一定)」を実行した際の結果を確認していこう。「CINEBENCH R23」ほど、高負荷ではないがCPU使用率は100%に張り付くだけあって、現実的な運用モードは「通常」からだろう。ファン回転数だけでなく、ポンプの回転数もデフォルト設定値となる1,600rpm~1,700rpm台前半で動作しつつ、60℃台に抑え込めている。
ベンチマークテスト:各動作モードでのOCCT:CPU CPU温度推移(℃/室温27℃) |
ベンチマークテスト:各動作モードでのOCCT:CPUの推移(MHz) |
最後は最大の懸念材料である騒音値を、ストレステストと同じ状態でチェックしてみよう。「RGB AIO Liquid Cooler 240MM」を搭載したPCは、当然Razer三頭蛇が見えるパソコンデスク上に設置し、「Razer Tomahawk ATX」のフロント角からから約60cm離れた位置に騒音計を置いて計測を行っている。
ベンチマークテスト:騒音値(dBA/暗騒音34.3dBA) |
ファン回転数が最大値に近い1,900rpm台になる「パフォーマンス」モードはPCケースに収めた状態かつラジエターを設置したケーストップ側ではないフロント側の計測で常時40dBAオーバーと、なかなか厳しい結果になってしまう。回転数が制御される「アドバンスト」は静音と言えるが、やはりCPU温度が80℃に達した時点で、ファン回転数が100%に達してしまう設定なのが痛い。今回のテストで使ったRyzen 9 5900Xは80℃に達しなかったので、42.1dBAになっているが、より高発熱なRyzen 7 5800Xや、Core i7-12700Kのリミット解除状態での運用時は、46dBAを記録しているファン回転数100%になる可能性があるだろう。
コスト度外視で組みたくなるRazerづくしPC |
トップベンダーとなるAsetekと共同開発した、Razer初のオールインワン型水冷ユニット「Razer Hanbo Chroma」シリーズ。今回は240mmサイズラジエターモデルの「RGB AIO Liquid Cooler 240MM」を触ってきたが、組み合わせるCPUこそ選ぶが、冷却面に不安はない。ファン回転数の制御面と、2基以上の「Razer Kunai Chroma RGB 120mm LED PWM」を接続しても制御できないところはマイナスだが、ウォーターブロックの”Razer三頭蛇”に、各部のLEDイルミネーションを「Razer Chroma RGB」対応のゲーミングデバイスと同じく、Razer Synapseソフトウェアで制御、ワンクリックで発光パターンを同期できるのは、やはり魅力的だ。マイナス面もファームウェアやソフトウェアのアップデートで改善される可能性もあるので、オールインワン型水冷ユニットの導入を考えているRazerファンは注目だ。
ちなみに240mmサイズラジエターモデルの「RGB AIO Liquid Cooler 240MM」で、冷却性と静音性のバランスがとれた「通常」や「アドバンスト」モードでの運用を考えるなら、(人気のIntel第12世代からチョイスすると)Core i5-12600KまたはPCケースのエアフロー次第でCore i7-12700Kのリミット解除状態との組み合わせがちょうどよさそうだ。
協力:Razer
株式会社アユート