エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1161
2022.06.28 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
次にXPG VALOR AIRの冷却能力について解説していこう。スリムでコンパクトなボディながら、前面は通気孔がデザインされた内部メッシュ仕様で、外気を大量に取り込めるよう設計されている。さらにトップ面にも通気孔を設け、背面にも排気用の増設スペースが確認できる。奥行き371mmのショートボディだけに、吸排気のエアフローレイアウトは構築しやすい。“外気を素早く取り込み、素早く排気する”シンプルな風の流れは、システムにとって都合がいい設計と言える。
製品資料抜粋のエアフローレイアウト図。左右幅(奥行き)の狭さが冷却には都合がよく、常にフレッシュな外気をダイレクトに取り込む事ができそう |
マグネット着脱式フロントパネルを取り外すとダストフィルターが露わになり、シャーシ面には冷却ファン増設スペースが確認できる。XPG VALOR AIRではエアフロー性能の要衝となる前面には、120mmファン3基または140mmファン2基が増設可能。ラジエーターも120/240/360mmサイズまで搭載ができる。
およそファンレスで運用するという考えは極少数で、フロント部にはなんらかの冷却ファンを用意する事になるはず。LEDファンを増設すればイルミネーション鮮やかな魅せるPCになるし、回転数を抑えた冷却ファン3基でエアフローを確保すれば、冷却能力を落とさずに静音志向のPCも構築できる。
スリットタイプのネジ穴は、内側の120mmファンで約20mm、外側140mmファンで約30mmの上下ストロークに対応する |
リア上部には、120mmファンが1基増設できる。XPG VALOR AIRは”AIR”を謳いながらも冷却ファンは全てオプション扱い。冷却能力の強弱はユーザーの手に委ねられている。とは言え、フロント、トップ、リアの3箇所のうち、CPUソケットやVRM等の熱源に近い背面は、冷却ファン増設が必須だろう。過剰な回転数は必要とせず、静音ファンを搭載するだけで内部環境は大きく改善されるはずだ。
スリットタイプのネジ穴は上下に約20mm調整が可能。120mmサイズラジエーターの固定位置の調整に便利 |
トップ面のマグネット固定式ダストフィルターを外すと、シャーシ面にはハニカム状の通気孔と冷却ファン増設用のネジ穴が確認できる。ここには120mmまたは140mmファン2基が搭載可能で、ラジエーターは最大240mmサイズまでが固定できる。
「熱は上昇する」事は誰もが知るところだが、背面排気だけでは追いつかないようなハードウェア構成の場合、内部容積が限られたXPG VALOR AIRでは、積極的に冷却ファンは増設すべきだろう。また240mmサイズラジエーター採用のオールインワン型水冷ユニットを組み込むなら、ラジエーターはフロントではなくトップに固定するといいだろう。
スリットタイプのネジ穴は120/140mmファンピッチいずれもストロークは約30mm。ラジエーター個別のネジ穴調整や搭載箇所の前後調整に対応する |