エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1171
2022.07.17 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
3D関連のベンチマークが一段落したところで、各グラフィックスカードを組み込んだシステム全体の消費電力を確認しておこう。ストレステストの「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間なにもせず放置した際の最小値をアイドル時に設定している。
アイドル時については省電力機能が搭載されているため「PULSE 6650 XT」と「NITRO+ 6750 XT」で約6W、「PULSE 6650 XT」と「NITRO+ 6950 XT」でも約13Wとその差はわずか。一方、高負荷時は「PULSE 6650 XT」と「NITRO+ 6750 XT」で約70W以上、「PULSE 6650 XT」と「NITRO+ 6950 XT」では約230Wと、ほぼ公称消費電力通りの差がついた。特に「NITRO+ 6950 XT」の消費電力は飛び抜けて多いため、電源ユニットは容量だけでなく、出力も安定している高品質なものを選択したい。
ベンチマークのラストは、SAPPHIREオリジナルVGAクーラーの冷却性能を確認していこう。ストレステストは消費電力テストと同じく「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」で、ファンの回転数やGPU温度の取得には「GPU-Z」を使用している。
まず「NITRO+ 6950 XT」の結果を確認すると、公称消費電力は405Wに達するモンスターモデルながらGPU温度は約75℃、ホットスポットの温度は約90℃で推移。ファンの回転数もテスト序盤で瞬間的に1,400rpm台まで上昇するものの、その後は1,100rpm台、回転率も30%前半で推移し、3.5スロットを専有する「Tri-X」クーラーはかなり余裕を持った状態でオーバークロック状態のRadeon RX 6950 XTを冷やすことができている。
続いて「NITRO+ 6750 XT」をチェックすると、ファンの回転数や回転率は「NITRO+ 6950 XT」とほぼ同じ傾向だが、GPUの温度はさらに低下。テスト中に70℃に達することは一度もなく、「Tri-X」クーラーの冷却性能と静音性は極めて優秀だった。
最後に「PULSE 6650 XT」の結果を確認していこう。「PULSE 6650 XT」では、クーラー厚が2スロットに、ファンの数も2基に変更されている他、ファンサイズも一回り小さくなっているが、GPUの温度は70℃前後で頭打ち。ファンの回転数も1,500rpm前後、回転率も40%前後までしか上がらず、やはり冷却性能にはまだまだ余力が残されている。
今回はAMDの最新GPU「Radeon RX 6×50 XT」シリーズを搭載したSAPPHIREの人気モデル3機種について検証を進めてきた。最もユーザーが多いフルHD解像度での高画質設定や、WQHD解像度でもフレームレート重視の設定なら「PULSE Radeon RX 6650 XT GAMING OC 8GB GDDR6」で十分。また電源ユニットや冷却に対する要求も低めなことから、Mini-ITXベースのコンパクトゲーミングPCにも無理なく組み込むことができる。
さらにWQHD解像度の高画質設定やフルHDでも200Hzを超える高リフレッシュレートを安定して出したいなら「NITRO+ Radeon RX 6750 XT GAMING OC 12G GDDR6」を、4K解像度やレイトレーシングでのゲームも考えているなら「NITRO+ Radeon RX 6950 XT PURE GAMING OC 16G GDDR6」をチョイスするといいだろう。
そして今回検証した3モデルともクーラーの完成度は素晴らしい。「Radeon RX 6×50 XT」シリーズではクロックアップの代償として消費電力も増加しているが、いずれのモデルでもファンの回転率は50%を超えることはなく、冷却性能・静音性とも極めて優秀。どれを選んでも発熱やノイズに悩まされる心配はないだろう。
協力:株式会社アスク
SAPPHIRE TECHNOLOGY LIMITED