エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1176
2022.08.06 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
グラフィックスカードには、MSI「GeForce RTX 3060 Ti GAMING X TRIO」を用意した。TORX FAN 4.0を3基備えた自慢のVGAクーラー「TRI FROZR 2」を採用。RGB Mystic Lightに対応するイルミネーションもPCケース内部を美しく彩る。外形寸法は幅140mm、長さ323mm、厚さ56mmで、拡張カード有効スペース405mmを確保した内部には、問題なく収める事ができている。
GeForce RTX 3060 Ti GAMING X TRIOの末端からフロントパネル裏側までの空きスペースは、実測で約80mm強。計算上もピッタリで、じっくり眺めたところで居住性の良さは一目瞭然。拡張スロットのフレームレス設計も手伝って、ネジ留めもスムーズに行う事ができた。
合計20機種の大所帯でスタートしたPopシリーズ。同社のアイコンである「Define」シリーズがやや霞むほどのバリエーションは、それぞれに意味があるラインナップだという事がようやく理解できつつある。とは言え20分の2台しか触れてはいないが、随所にFractalらしさがあり、どのモデルを引っ張り出しても売価に見合った満足度は得られるだろう。Fractal Designに一日の長ありだ。
ただしATX規格のミドルタワーであるPop Air RGB TGは、天井の低さがやや気になった。フロントにRGBファン(Aspect 12 RGB White)を標準装備している事で、オールインワン型水冷ユニットのラジエーターのほとんどは、トップパネルにマウントされるはず。そこで多くのユーザーが組み込み手順のちょっとした違いで、コネクタが挿せないシーンに遭遇するだろう。これは思いの外ショッキングだ。
フロントパネルに装備されるAspect 12 RGB Whiteは、ずいぶんゆったりとした間隔で固定されている。もう少しスペースがあれば、3基の120mmファンが搭載できるはずだ。しかしそれを選択しなかったのは、E-ATX対応のひとまわり大きなPop XL Air RGB TGが存在するからだろう。明確にラインナップを切り分けるには、Pop Air RGB TGの大型化は避けたかったに違いない。天井部分の窮屈さは、バリエーションの明確なポジショニングによるところと見るが、あながち間違いではないだろう。
バリエーションの中の1台である事はさておき、純粋なミドルタワーPCケースの新作としては、やはり完成度は高い。Pop Mini Silent TG検証記事の総評では、Fractalらしいシンプルさと合理的な設計をプラス評価した。これはPop Air RGB TGにも共通しており、オリジナルブランドPC等のベース筐体として、ロングセラーになる可能性を予感させる。Popシリーズという”大きな塊”は、ライバルメーカーにとってうるさい存在になるだろう。
協力:Fractal Design
株式会社アスク