エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1177
2022.08.10 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:pepe
MSI「IMMERSE GH61」 実勢売価税込12,000円前後 製品情報(MSI) |
まず最初にピックアップしたのは、MSIヘッドセットにおける上位グレードの製品にして屈指の人気モデルである「IMMERSE GH61」だ。各メーカーの主力モデルがひしめく10,000円台前半の価格に設定された製品で、その最大の特徴と言えば、ハイレゾに対応したオンキヨー製の40mmネオジムドライバーを搭載する点だろう。
ブラックとガンメタルを組み合わせた、落ち着いたデザインの筐体。強度も申し分なく、ビルドクオリティは高い |
MSIによれば、「多くのスピーカーブランドから提供されたドライバーユニットの中で、最も高音域・中音域・低音域のバランスに優れた理想的なチューニングだった」ことが採用の決め手という。さらにESS Technologyによる「Sabre」シリーズDACと(同じくESS製の)アンプを内蔵、同価格帯でも屈指のオーディオ品質が味わえるというわけだ。
また、サウンドユーティリティ「Nahimic」によるイコライジングと7.1chバーチャルサラウンドにも対応。臨場感ある立体的なサウンドは、ゲームプレイにおいても大きなアドバンテージになるだろう。
なお、搭載するブームマイクは単一指向タイプで、未使用時にはイヤーカップに収納が可能。手元のコントロールユニットを使用すれば、ワンタッチでミュートにすることもできる。
オンキヨー製の40mmネオジムドライバーを搭載。同価格帯ヘッドセットの中でも、音質には大いに期待できるだろう |
高音域・中音域・低音域をバランスよく鳴らすチューニングが施されている。アーチの内側には、オンキヨー製ユニットの採用を示すロゴがプリントされていた |
そのほか、重量は約300gとサイズの割には軽めに収まっており、ヘッドバンドに質感良好なプロテインレザーが使われているなど、装着感にもこだわった仕様。イヤーパッドもプロテインレザーとファブリック(布地)タイプの2種類が付属しており、好みに合わせてチョイスできる。
接続インターフェイスは、3.5mmミニプラグとUSBの2-Wayに対応。コネクタはいずれも耐食性を高めるために金メッキ処理が施されている。ちなみにDAC機能が利用できるのは、コントロールユニットを備えたUSB接続時のみ。基本的にPCの場合はUSBで接続し、モバイル端末やコンシューマーゲーム機には3.5mmプラグで接続するといった使い方になるだろう。
ヘッドバンドの頭に触れる部分はプロテインレザーでカバー。バンドは20段階程度のクリック感を備えた、約3cmほどの調整機構が設けられている |
イヤーパッドは標準のプロテインレザータイプに加え、ファブリックタイプが付属。装着感はかなり異なるため、好みに応じて使い分けることになる |
単一指向性のブームマイク。それほど口元に近づけなくとも音を拾ってくれる |
3.5mmプラグをコントロールユニットに接続すると、DAC機能が有効になりPCへのUSB接続が可能になる | 製品にはハンドル付きのキャリングポーチが付属している |
「IMMERSE GH61」における最大のトピックは、オンキヨーによりデザイン・チューニングされたドライバーユニットであることは間違いない。全体的に調和のとれたサウンドは、過度な強調もなく聴きやすい。同価格帯の製品と比較しても音質面では上回っており、どのジャンル向けでも使っていけるヘッドセットに感じた。
実際のゲームにおいても、「VALORANT」では多数のプレイヤーが入り乱れるデスマッチでも距離感も分かりやすく対処しやすかったほか、「Apex Legends」では混戦状態でも背後からの接近に気付くことができたりと、上下や距離の把握に問題はなかった。サラウンド機能も自然で違和感はなく、音質の良さも相まって没入感・臨場感は格別で、特にオープンワールドRPGなどのジャンルと相性が良さそうだ。もちろんバランスの良い自然な音質から、音楽のリスニング用途にもしっかり使える品質を備えている。
その一方でマイクはやや籠もった音になりがちで、それほどクリアには感じなかった。感度自体は良好なもののノイズが乗りやすい特性があるようで、「NVIDIA Broadcast」のようなノイズ抑制機能を備えたソフトとの併用がオススメだ。もっともゲームのボイスコミュニケーション用途には十分な性能であり、大きな不満は感じないだろう。
そして装着感の良さは好印象で、ほとんどの人にとっては長時間利用でも疲れずに使い続けられるはず。価格帯の割にプラスチック感が全面にでた外観はチープな印象を与えるものの、ねじりにも強くビルドクオリティは問題なし。総じて良好な着け心地と音質を武器にした、コストパフォーマンスに優れたヘッドセットだと感じた。