エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1207
2022.10.20 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは消費電力とCPU温度を確認していこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「CINEBENCH R23」実行時の最高値を採用している。
Eコアが8コアから16コアに倍増している他、ブーストクロックも引き上げられているためCore i9-13900Kは最大466Wまで上昇。Core i9-12900Kとの差は約90W、Ryzen 9 7950Xとの差は約120Wで、フルブーストの状態ではかなり消費電力が大きい事がわかる。またCore i7-13700KもCore i9-12900Kとほぼ同等、Core i5-13600KもCore i7-12700Kとほぼ同等になるなど、第12世代Intel Coreプロセッサからは確実に消費電力は増加している。マルチスレッド性能が最大50%アップしているトレードオフと考えれば仕方ないが、電源ユニットは品質の良いものを組み合わせたい。
続いてCPU温度を確認するとCore i5-13600Kは最高80℃、Core i7-13700Kは最高92℃で頭打ち。ただし、Core i9-13900Kではテスト開始とほぼ同時にCPUが許容する100℃まで上昇する。
ちなみに今回テストに使用したマザーボードの電力制限はPL1は253Wだが、PL2は事実上の無制限である4,095Wに設定され、テスト中のPackage Powerは330W前後まで引き上げられていた。そこで、BIOSからPL2を253Wに変更したところスコアは約39,000pts→約38,000ptsで約3%の差にとどまるものの、CPU温度は92℃に、消費電力も380W前後まで低下した。発熱や消費電力が気になる場合は、第12世代Intel Coreプロセッサと同様、PL値の調整を検討してみるといいだろう。
第11世代から第12世代のときのようなドラスティックなアーキテクチャの変更はないものの、ブーストクロックの向上やEコア数の拡張、キャッシュ容量の増加などによって正当進化を果たした第13世代Intel Coreプロセッサ。
今回実施したマルチコアテストでは、Core i9-13900KはCore i9-12900Kから最低でも約40%の性能向上が見られ、Intelの謳い文句通り。さらに最も差が大きかったものでは50%以上スコアが向上しているものもあり、マルチスレッド処理を得意としているAMDの新フラッグシップRyzen 9 7950Xと比較しても同等かそれ以上の性能が期待できる。
そしてもともと得意としていたゲーム関連ベンチマークでも、第12世代Intel Coreプロセッサから順当にパフォーマンスが向上。Core i7-13700KやCore i5-13600KでもCore i9-12900Kを上回るシーンも多く、特にフルHD解像度のような比較的負荷の軽い環境や、フレームレートを追求するような使い方では大いに力を発揮してくれるだろう。
上位モデルでは、リミット解除設定時の消費電力の高さや発熱の多さが気になるものの、パフォーマンスについては間違いなく現行最高クラス。さらに従来環境との互換性が維持されているため、価格がこなれているIntel 600シリーズのマザーボードやDDR4メモリが利用可能。導入コストを抑えることができるのもPCパーツが高騰している現状では大きなメリットだ。