エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1216
2022.11.07 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
最終セッションでは評価サンプルに構成パーツを取り付け、実際にPCを組み上げていこう。内外装を問わず、随所に見るべきポイントがあったA5は、見慣れたミドルタワーPCケースとは異なり、組み込み作業ならではの発見がありそうだ。限られた内部空間をどのように使い、折り合いを付けているのか。A5の特殊な設計が楽しめるのはここからだ。
そして事前にお断りしておくと、組み込み手順は必ずしもこの通りに行う必要はなく、できればマニュアルに沿った手順がオススメだ。そもそも自作PCはある程度のセオリーはあるもので、回数を重ねて経験値が上がり、自己流にアレンジしていくはずだ。しかしA5のような独自の設計かつ内部容積が比較的狭いコンパクトミドルタワーでは、モデルならではのルールが存在し、場合によっては面倒が起きることがある。今回はA5ならではのポイントも解説していきたい。
まずはマザーボードを搭載してみよう。搭載テストにはMSI「MPG X570 GAMING PRO CARBON WIFI」を使用した。最も多くの人が選択するであろうATX規格で、基板サイズは243x304mmだ。
マザーボードトレイに装着済みのスタンドオフと、絞り加工の引き延ばしにより山を成型した台座部へ付属の六角ネジ(インチ)で9箇所をネジ留めしていく。マザーボードに対し、上下方向のスペースに余裕が無いため、できれば軸の長いプラスドライバーがあると、ネジ山に対して真っ直ぐにトルクを掛けていくことができるだろう。インチネジの硬さでベース部を無理に壊さないよう作業を進めたい。
なお搭載後の周辺クリアランスは、右方向のフロントパネルまでが実測で約130mm、上方向トップパネルまでが約55mmだった。ただ右方向にはこの後電源ユニットが搭載される事から、あくまで参考値としたい。
A5の場合通常バラピンの電源スイッチ/HDD LED各コネクタは予めブロックタイプにまとめられている。これもすこぶる便利だった | リアファンに接続した付属のARGBファン延長ケーブルはロック機構付き。外れやすく悩ましい箇所だけに、このような配慮はとてつもなくポイントが高い |
A5の内部構造全体をガラリと変えた主犯である電源ユニット。”フロント縦置き”と表現するとまるで自動車のようだが、このレイアウトこそA5の魅力を最大限に引き出す要因になっている。
対応電源ユニットサイズは奥行き140~200mmまで。ミニマムはさておき、最大200mmはグラフィックスカードとの折り合いだ。170mmを超すとグラフィックスカードの有効スペースが340mmから280mmに減る。この差60mmは両者のチョイスに大きく影響している事は知っておく必要がある。
搭載テストには奥行き150mmのフルモジュラータイプをチョイス。この状態で、下方向の有効スペースは実測で約190mmだった |
固定はトップパネルを外した状態で、開口部より4本のインチネジを使用。配線済み内部中継ケーブルを接続するだけ |
右側面からの様子。ATX規格は高さが86mmと決められており、マザーボードの右端まで約45mmの距離を残した |
マザーボードを固定したところで背面に回り、CPUクーラーのメンテナンスホールを確認しよう。2.5/3.5インチ共用ドライブトレイを一旦取り外した状態で計測すると、幅約150mm、高さ約155mm(最大部)だった。見るからにミドルタワーPCケースとしてはカットアウトが小さいため、だいぶ見かけなくなったが大ぶりなバックプレートの場合、全てが露出できない可能性がある点は若干気掛かりだ。
Socket AM4マザーボードの備え付けバックプレートは全てが露出できているものの、見た目からもカットが小さい事が分かる |