エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1239
2023.01.06 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
MSIのゲーミングマザーボードの中ではエントリークラスに位置づけられる「MAG」シリーズに属する製品ながら、75A SPSによる12+1+1フェーズの強力な電源回路を搭載する「MAG B760M MORTAR WIFI」。
「詳細検証で判明したNon-K版第13世代Intel Coreプロセッサ「Core i7-13700/i5-13400」の実力と正体」では、Core i7-13700のPower Limit無制限設定でも動作が不安定になることはなく、Core i9-12900Kを超えるパフォーマンスを叩き出すことができた。そこで、テストセッションのラストは「CINEBENCH R23:10 minutes」の高負荷テストを実施して、CPUのPackage PowerとMOSFETの温度を確認してみることにした。
MSIのLGA1700対応マザーボードでは、「Click BIOS 5」の「CPU Cooler Tuning」から搭載しているCPUクーラーを選ぶだけで簡単にPower Limit値を設定が可能。今回は事実上の無制限となる「Water Cooler」(PL1=PL2=4096W)で検証を実施した |
Power Limit値を確認するとテスト開始直後は一気に310W前後まで上昇。その後はCPU温度が100℃に達してしまうこともあり若干下がるものの、それでも約290Wで推移し、電源回路への負荷は非常に高い。にも関わらずMOSFETの温度は最高64.5℃までしか上がらず、まだ余力が残されている。今回はCore i7-13700でテストを行っているが、Core i7-13700KやCore i9-13900Kを使った場合でも「MAG B760M MORTAR WIFI」ならその性能を十分に引き出すことができるだろう。
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
またサーモグラフィの結果を確認すると高負荷時はCPUソケット上側、左側のいずれのヒートシンクとも温度が上昇しており、MOSFETやチョークコイルから発生した熱を効率よく拡散している様子が見て取れる。
第13世代Intel Coreプロセッサの「Non-K」モデルに合わせてリリースされたIntel B760。オーバークロック機能を省略したミドルレンジチップセットということもあり、安価な製品ではフェーズ数を大胆に削減したものや、電源回路のヒートシンクが省略されたものも少なくない。
一方、今回の主役である「MAG B760M MORTAR WIFI」は同チップセットのマザーボードとしては比較的ハイエンドな製品ということもあり、300Wを超えるPackage Powerにも耐えることができる強力な電源回路と大型のヒートシンクを搭載している。
そして最高7,000MHzの高クロックメモリへの対応や、PCI Express 5.0(x16)スロット、2.5ギガビット有線LAN、Wi-Fi 6E無線LANなど最新インターフェイスも充実。さらにブースト機能によってオーバークロックはできなくてもCPUの性能を存分に引き出すことができることから、「Non-K」モデルはもちろんIntel Z790チップセットの安価な代替えとして「K」モデルと組み合わせるのも面白い。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社