エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1244
2023.01.20 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ゲーム系のベンチマークが一段落したところで消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Speed Way Stress Test」を使用し、テスト実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時としてワットチェッカーによる計測を行った。
アイドル時は省電力機能により電圧、クロックとも大幅に低下するため消費電力は80Wとかなり控えめ。一方、高負荷時はPrimaryが582W、Secondaryが508Wで、ほぼTBP通りとなる74Wの差がついた。最近ではメインストリーム向けのCPUもブースト機能によって高負荷時は消費電力が大きく増加することから、電源ユニットには推奨通り容量800W以上のモデルを選択したい。
テストセッションのラストは、3連ファンクーラーをベースにしたオリジナル冷却システム「Tri-Xクーリング」の性能をチェックしていこう。ストレステストは消費電力と同じ「3DMark Speed Way Stress Test」で、GPUの温度やファンの回転数は「GPU-Z 2.51.0」で取得している。
まずリファレンス動作となるSecondaryの結果を確認すると、GPU温度は最高でも64℃、ファンの回転は1,500rpm弱、回転率も30%台半ばまでしか上がらなかった。そして消費電力が74W増加するPrimaryでもGPU温度は最高69℃、ファンの回転数や回転率はSecondaryとほぼ変わりなし。リファレンスモデルのGPU温度が70℃、ファンの回転率が70%前後まで上昇していたことを考えると「Tri-Xクーリング」の性能は極めて優秀と言っていいだろう。
最新アーキテクチャ「RDNA 3」の採用により、大幅なパフォーマンスアップを遂げたAMDの新フラッグシップRadeon RX 7900 XTX。ラスタライズを使用するゲームであれば4K解像度でも高リフレッシュレート表示が可能。そしてこれまでRadeonシリーズでは本格的な運用が難しかったレイトレーシング性能も向上しており、WQHD解像度までなら超解像技術を組み合わせること無く快適にゲームを楽しめるようになった。
さらに「NITRO+ AMD Radeon RX 7900 XTX Vapor-X 24GB」では、ベイパーチャンバーや分厚いヒートシンク、3基のファンを組み合わせた「Tri-Xクーリングシステム」と、最大1,080Aまでの出力に対応する強力な電源回路により、リファレンスモデルからブーストクロック180MHz、ゲームクロックは実に200MHz以上も向上。ゲーム中の最高クロックは3GHzに達することもあり、今回の検証では多くのシーンでその効果が発揮されていた。
その分、リファレンスモデルに比べるとサイズが大型化されているのはデメリットだが、イマドキのミドルタワーPCケースと組み合わせるのであれば大きな問題にならないだろう。また製品にはVGAサポーターも付属しているため、自重によって基板が歪んでしまう心配もない。圧倒的な冷却性能と、高クロック動作を実現している「NITRO+ AMD Radeon RX 7900 XTX Vapor-X 24GB」は、最高のパフォーマンスを求めるAMD派にとってはベストな1枚と言えるだろう。
協力:株式会社アスク
SAPPHIRE TECHNOLOGY LIMITED