エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1256
2023.02.18 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
テストセッションのラストは非接触型デジタル温度計によるヒートシンクのポイント別温度と、サーモグラフィの結果をチェックしておこう。CPUはCore i7-13700K、「CPU Cooler Type」は「120~140mm Liquid Cooler」を選択し、ストレステストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使用している。
高負荷時のポイント別温度計測結果 |
ポイント別温度を確認するとCPUに最も近いベースプレート上部が38.7℃で最も高く、ヒートシンクの上部に行くに従って温度が低くなる。また側面部分とヒートシンクの中心部分を比較すると側面部分の温度が低く、CPUからの距離が遠くなるに連れて温度が下がる順当な結果になった。
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
続いてサーモグラフィの結果を確認すると、ヒートパイプ部分の温度は周辺より明らかに高くなっている。さらに高負荷時はアイドル時に比べてヒートシンク全体の温度が上昇しており、CPUから発生した熱がヒートパイプを使い効率よく移動していることがわかる。
サイズ・S氏は正直な人だ。彼を知る自作PCパーツ業界人なら、きっと同じ思いだろう。他社製の良い点は良いと認め、自社製の悪い点はたとえ身内でも否定的な意見をスパッと言う。そんな信頼の置けるS氏だからこそ、新しい製品の事前リークは素直に期待してしまう。もっともダメなものは、そもそも紹介してもくれない。
振り返れば、「虎徹」のエンジニアリング・サンプル(ES品)をこっそり見たのは、2013年の台湾(COMPUTEX TAIPEI 2012開催中の会場内)だった。あれから10年の歳月は長く、自作PCパーツの業界事情もずいぶんと様変わりした。昔話をするほどわれわれは年を取ってしまったワケだが、「虎徹」はしっかりと地に足をつけて「虎徹MARK3」まで進化を続けている。そこまで息の長いPCパーツは珍しい。
既に開発最終段階だった初代「虎徹」のエンジニアリング・サンプル |
“異例のロングセラー”、虎徹の最新モデルは検証のスコアが表している通り、期待通りの結果をだった。細部にわたるこだわりの改良は解説通りだが、それらの積み重ねがきちんと性能に表れている。外観や冷却スタイルそのものは大きく変わっていないハズだが、進化の余地はまだ残されている。そこに、CPUクーラーの奥深さを改めて思い知らされた。
そういう意味で言えば、虎徹MARK3はまだ進化の過程にある。次の10年後は虎徹20周年だ。筆者もS氏も今以上にカンロクが付いている事だろう。
協力:株式会社サイズ