エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1259
2023.02.27 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
AMD「Ryzen 9 7950X3D」 市場想定売価税込111,800円(2023年3月3日11時発売) 製品情報(AMD) |
2022年2月に登場した「Ryzen 7 5800X3D」以来となる3D V-Cache技術を採用するゲーミングCPU「Ryzen 7000X3D」シリーズの国内発売が2023年3月3日11時より開始される。Zen 4アーキテクチャを採用する「Ryzen 7000」シリーズをベースにしたCPUで、Ryzen 7 5800X3Dと同じくCPUコア「CCD」上に64MBのキャッシュ用SRAMを積層することで、L3キャッシュ容量が大幅に拡張されている。
またRyzen 5000X3Dでは、製品ラインナップがCCD×1基のRyzen 7 5800X3Dのみだったが、Ryzen 7000X3DではCCDが2基のRyzen 9が追加されたことで、ゲーム性能だけでなく、レンダリングや動画のエンコードといったマルチスレッド処理性能についても、ハイエンドモデルと同等のパフォーマンスが期待できる。
Ryzen 7000X3Dでは、3D V-Cache技術を採用したモデルでは初となるCCD×2基のRyzen 9がラインナップされている |
ちなみにRyzen 9は、3D V-Cacheを搭載したCCDと、従来型のCCDを組み合わせたハイブリッド構成の「Asymmetric Chiplet Design」を採用。専用ドライバ「AMD 3D V-Cache Performance Optimizer Driver」により、自動的に最適なコアに処理を割り振ることで、大容量キャッシュが効く処理だけでなく、動作クロックが重要な処理でも優れたパフォーマンスを発揮することができる。
Ryzen 7000X3DのRyzen 9では、低レイテンシな3D V-Cacheを搭載したCCDと、高クロックな従来型のCCDを搭載 |
さらにゲーム動作時は「AMD PPM Provisioning File Driver」にて、より高速に処理が行えるCCD(一般的には3D V-Cache搭載CCD)を自動的に判別。そのCCDのみで処理を完結することでレイテンシを抑え、高いフレームレートを維持できるよう設計されている。
Ryzen 9 7950X3D/7900X3Dでは、「AMD 3D V-Cache Performance Optimizer Driver」や「AMD PPM Provisioning File Driver」を使い、2つの異なるCCDをリアルタイムに制御する |
第1弾モデルとして3月3日に国内発売が開始されるのは、CCD×2構成の「Ryzen 9 7950X3D」「Ryzen 9 7900X3D」の2モデル。ベースクロックは、Ryzen 9 7950X3Dが4.2GHz(Ryzen 9 7950Xは4.5GHz)、Ryzen 9 7900X3Dは4.4GHz(Ryzen 9 7900Xは4.7GHz)で、従来モデルに比べるといずれも0.3GHz低下しているものの、最大クロックはそれぞれ5.7GHzと5.6GHzで変化なし。
Ryzen 9 7950X3DとRyzen 9 7900X3D(市場想定売価税込95,800円)は3月3日より国内発売開始。またCCD×1基のRyzen 7 7800X3D(市場想定売価449ドル)はグローバル市場向けに4月6日より発売が開始される予定 |
またL3キャッシュは64MB→128MBへと倍増している一方で、TDPは170W→120Wへと50Wも低下しており、消費電力や発熱がどれだけ抑えられているのかも気になるところ。なおプラットフォームはSocket AM5で、既存のマザーボードでもBIOSをアップデートするだけで使用することができる。
Socket AM5では、今回のRyzen 7900X3Dシリーズはもちろん、2025年までの長期間のアップグレードが謳われているのは大きなメリット |