エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1262
2023.03.06 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
設立当初はCPUクーラーの専門メーカーであったCooler Master。日本国内サイトの製品情報を見ると、現在空冷は30種類、水冷は29種類のラインナップが掲載されている。とかく魅せるPCを構築する場合、ラジエーター搭載ファンとウォーターブロック上部が共に発光するオールインワン型水冷ユニットが選択されやすい。冷却能力の高さもチョイスの理由だろうが、近頃では空冷にも再び注目が集まっている。過剰な冷却性能は必要とせず、手頃な価格の製品が選ばれているようだ。
そこで本稿の搭載テストには、MasterBox 520 SAKURA Edtionと同時発売された「サクラシリーズ2023」の「Hyper 212 Halo White Sakura Limited Edition」(型番:RR-S4WW-20PA-RS)をチョイス。トップカバーには桜の花びらと、麻の葉文様がプリントされ、MasterBox 520 SAKURA Edtionとの組み合わせはさすがに申し分ない。
CPUクーラー有効スペースは165mmのところ、Hyper 212 Halo White Sakura Limited Editionは全高154mm。4本のヒートパイプと幅73mmのナロータイプフィンで構成され、アドレサブルGen 2 RGB LEDを内蔵する120mmファン(25mm厚)が搭載されている。
実際に搭載したところ、左サイドパネルに干渉することなくキレイに収まった。またトップカバーが強化ガラスと正対し、桜の花びらのボリュームもアップ。より一体感のあるPCに仕上げる事ができる。
スリーブ仕様の電源ケーブルとARGBケーブルは、最も距離が近いスルーホールを経由して、裏配線スペースへと引き回した。電源コネクタはマザーボード上、ARGBコネクタはARGB Fans Hubに接続した |
グラフィックスカードの有効スペースは最大410mm。ここに編集部所有の「GeForce RTX 4090 Founders Edition」を搭載してみよう。長さ304mm、幅137mm、厚さ61mmで、3スロットを専有するハイエンドグラフィックスカードだ。
当然ながら、410mmのスペースに304mmのグラフィックスカードを搭載することはなんら問題はない。実際に搭載したところ、フロントパネルまでの距離は実測で約105mmを残している。1mmは誤差の範囲内なので気にはならない。
ここで触れておきたいのが、GeForce RTX 4090 Founders Editionに付属する4系統のPCI-Express 8pinコネクタを12VHPWRに変換する変換コネクタおよびケーブルの”収まり所”だ。イマドキのハイエンドの宿命とも言える、”ケーブルおよびコネクタの塊”はかなりのボリュームで、PCケースによっては美しく魅せる配線が叶わない。
12VHPWRについては発展途上の感があり、今後別のカタチに進化する可能性はある。搭載グラフィックスカードについては、無理のない選択が最も有効な対処方法だろう |
MasterBox 520 SAKURA Edtionの場合ほぼ1択で、3つあるグロメット付きスルーホールのうち、最も下段を利用。ここに4本のPCI-Express 8pinコネクタケーブルを通す事になった。12VHPWR変換コネクタケーブルは、無理にストレスを掛けてはいけない事がルールであり、左サイドパネルとの空間も考慮しなければならない。誰しもがハイエンド構成ではないだろうが、グラフィックスカードとPCケースの関係は、単に全長だけが収まればいいだけではない事を覚えておきたい。
ベース筐体があってのいわゆる「企画モノ」である今回の主役。ここは筐体そのものと、デコレーションの2面からジャッジしていきたい。まずは初見だった「MasterBox 520」については、クセの無いCooler MasterらしいミドルタワーPCケースだった。
モデル数が多く、全ての製品に触れる事はとうの昔に断念したが、それでも名機「ATC-100」からのユーザーとしては、常にウォッチするメーカーのひとつ。「Centurion 5」「CM 690」さらに「CM Stacker」「COSMOS」など、歴々の名だたる製品に肩を並べるには少々個性が足りないが、それでも「MasterBox 520」は工作精度(クオリティ)、組み込みのし易さ(ユーザビリティ)は及第点以上。特にトップカバーを外した状態でも一定の剛性が確保できている点は、筐体の骨格自体がしっかりとしている証拠であり、Cooler Masterの筐体に共通する良さでもある。
唯一注文を付けるならば、電源ユニットの搭載方法は”外枠固定によるスライド式”にして欲しいところ。ボトムカバーを付けているなら尚のこと、ここは是非取り入れて頂きたい。
そして桜の装飾は同コンセプトの既存モデルとはやや趣が異なる。以前ご紹介したMasterBox NR200P Sakura Limited Editionが満開の桜に対し、MasterBox 520 SAKURA Edtionは盛りを過ぎようとしている桜吹雪。花びらひとつが丁寧に描かれ、麻の葉文様がマッチして全体を引き締めている。
テーマとしての桜を嫌う人は少ないだろう。ただし季節感という点では販売期間は気になるところ。この手のコンセプトモデルが上手いCooler Masterだけに、今度は日本の伝統文様シリーズ等はどうだろう。「青海波」や「千鳥」「矢絣」などのバリエーションがあれば、思わず購入しちゃいそうだ。
協力:Cooler Master Technology