エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1290
2023.05.23 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ゲーム関連のベンチマークが一段落したところで、消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
省電力機能が有効になるアイドル時はいずれも約60Wまで低下。また高負荷時でも消費電力は最大237.4Wまでしか上がらず、600W前後の電源ユニットを用意してやればハイエンドのCPUを組み合わせた場合でも電力が不足することはないだろう。またGeForce RTX 3060 Tiに比べると56.5Wも低く、ワットパフォーマンスは非常に優秀だ。
テストセッションのラストは「GeForce RTX 4060 Ti 8GB Founders Edition」に実装されているオリジナルデュアルファンクーラーの冷却性能をチェックしていこう。ストレステストは「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使用し、騒音値はデータログ機能を備えた騒音計アズワン「TM-103」をファンから30cmの距離に設置して計測を行った。なお騒音値計測時のみオールインワン型水冷ユニットのファン回転数はできる限り低く抑えている。
ファンの回転率はファン1、ファン2とも最高35%、回転数は1,580rpm前後までしか上がらなかった。またGPU温度は最高65.5℃、Hot Spotも最高76.9℃で頭打ちになり、冷却性能にはまだまだ余力が残されている。さらにノイズレベルも最高38.4dBAで、オープンフレームケースでのテストながら風切り音は全く気にならなかった。
今回はAda Lovelace世代としては初のミドルレンジクラスとなるGeForce RTX 4060 Ti 8GB版の検証を進めてきた。大容量のL2キャッシュでメモリバス幅の狭さをカバーしているため一部のゲームでは、4K解像度でスコアが伸び悩むシーンはあるが、メインターゲットとしているフルHD解像度やWQHD解像度までなら先代のGeForce RTX 3060 Tiから順当にパフォーマンスが向上している。
またゲームによっては70%以上もフレームレートが引き上げられるものもあるなど、最新超解像技術DLSS 3が利用できるのも大きなメリット。最近では重量級のゲームを中心にDLSS 3への対応も順調に進んでおり、今後の展開にも大いに期待ができる。
そして消費電力は先代から50W以上も低下し、ワットパフォーマンスはかなり優秀。さらに低消費電力・低発熱な特性を活かし、Palit「GeForce RTX 4060 Ti StormX」シリーズのような超小型モデルが用意されているのも大きな特徴だ。
旧世代のゲームがメインのユーザーにとってGeForce RTX 4060 Tiへのアップグレードはあまり恩恵がないのは事実。一方、Ada Lovelaceの最新機能を活用したゲームは気になりつつも、消費電力やカードサイズの影響でGeForce RTX 40シリーズの導入を諦めていた人には待望の製品になるだろう。
協力:NVIDIA Corporation