エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1291
2023.05.24 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ゲーム関連のベンチマークが一段落したところで、消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
アイドル時の消費電力が約100Wと高いのは、2基のチップで構成されるAMD X670Eチップセットマザーボードを使用しているため。AMD B650やAMD A620チップセットのマザーボードを使えば消費電力を引き下げることができるだろう。また高負荷時の消費電力を確認すると、Radeon RX 6600からは約40W上昇しているが、最高でも269.5Wで頭打ち。500~600Wの電源ユニットを用意してやれば最高の電源効率で動作させることができる。
テストセッションのラストはRadeon RX 7600リファレンスモデルに実装されているデュアルファンクーラーの冷却性能をチェックしていこう。なお消費電力の計測と同じく、ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使用している。
GPUの温度は最高79℃、Hot Spot温度は最高91℃まで上昇し、ミドルレンジGPUとしてはやや高め。ちなみに冷却ファンの回転数は1,700rpm前後、回転率は60%前後、ノイズレベルは39.1dBAに留まることから、リファレンスモデルのデュアルファンクーラーはかなり静音性を重視したチューニングが行われているようだ。
最もユーザーの多いフルHD解像度をメインターゲットに据えた最新ミドルレンジGPU「Radeon RX 7600」。RDNA 3アーキテクチャの採用や動作クロックの引き上げによって、前世代のRadeon RX 6600からは安定して20%以上、ゲームによっては30%以上もフレームレートが向上している。
レイトレーシング機能については正直フルHD解像度でも力不足を露呈するシーンがあり過度の期待は禁物。その一方で、APIにDirectX 11/12やVulkanを使用するゲームであれば、AAAクラスの重量級タイトルでも最高画質で快適にゲームを楽しむことができる。さらにバトルロイヤルゲームやFPSゲームでは、フルHD解像度はもちろんワンランク上のWQHD解像度でも高フレームレートを稼ぐことができるなど、まさに謳い文句通りのパフォーマンスを発揮してくれた。
奇しくもライバルとなるNVIDIAからもほぼ同時にミドルレンジGPU「GeForce RTX 4060 Ti 8GB」がリリースされているが、こちらはレイトレーシングや超解像技術といった最新機能を全面に押し出しており「Radeon RX 7600」とはかなり毛色が異なる。価格もRadeon RX 7600が269ドルなのに対して、GeForce RTX 4060 Ti 8GBは399ドルと差が大きく、ミドルレンジグラフィックスカードの購入を検討しているユーザーにとって、どちらを選択するかは悩ましいところだ。
協力:日本AMD株式会社