エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1299
2023.06.14 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
2023年上半期最後のオオモノ、今回の主役「Terra」はFractal Designらしい巧みな内部設計により、多くの自作派を唸らせる事は間違いない。アルミニウム製で従来のCube型とは異なる長方形の筐体は、今流行のミニPCケースのそれだが、10.4Lと言われる内部スペースを”自在”に使い、各構成パーツの折り合いを付けるという、これまでにないタイプの製品なのだ。
Fractal Design「Terra Silver」(型番:FD-C-TER1N-02) 市場想定売価税込37,400円前後(2023年6月9日発売) 製品情報(Fractal Design / 株式会社アスク) |
やや抽象的で分かりにくいが、ひとことで言い表せない難解さこそTerraの魅力であり、中~上級者向けのミニPCケースである事を細部にわたりお伝えしていこう。
COMPUTEXに合わせて開催されたプライベートイベントは、台北101の向かいにある「Marquee Taipei」で行われた。Fractal Designは、やることなすことがまぁオシャレ |
Terraは3つのカラーバリエーションで構成されている。ブラック色を言い換えた黒鉛「Terra Graphite」(型番:FD-C-TER1N-01)、今回検証で取り上げる「Terra Silver」(型番:FD-C-TER1N-02)、そして翡翠を意味する「Terra Jade」(型番:FD-C-TER1N-03)。3つを並べると、Fractal Designらしいスカンジナビアンデザインを窺わせるチョイスは見事。初回から翡翠(ジェード)を入れるあたり、今後発売されるFractalの新製品にも、当たり前のようにラインナップされている予感をさせる。
なお国内正規代理店である株式会社アスク(本社:東京都千代田区)のアナウンスによると、市場想定売価は税込各37,400円前後とされ、カラーによる価格差は無い。
Fractalではお馴染みのシリアルナンバー。Terraは底面フロント寄りの付け根に貼り付けられていた |
実機に触れる前に、Terraをスペック表から読み解いてみよう。対応フォームファクタはMini-ITXのみ。一方で電源ユニットはSFXとその派生型とも言えるSFX-Lに対応。この組み合わせから、内部容積に余地を残さない小型筐体である事は容易に想像できる。
外形寸法を確認すると、幅153mm、奥行き343mm、高さ218mmと果たして小さい。宣材写真から通気性を確保すべくスリットを多く用いたデザインが最大の特徴であり、”小型だからといって簡単には妥協しない”メッセージとも受け取ることができる。ミドルタワーPCケースにはない、想像力をかき立てるワクワク感が、この手のPCケースには確かに存在しているのだ。
小型筐体ゆえに外装パッケージもコンパクトで、幅215mm、奥行き394mm、高さ292mmとされる。これはミニタワーPCケースにも満たないサイズで、付属品および緩衝材を含めた総重量も4.0kgしかない。もちろん店頭購入による持ち帰りは容易で、むしろ構成パーツの方がかさばるのではないだろうか。なおマニュアル表記は株式会社アスクの製品サイトに準拠している。