エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1304
2023.06.28 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ゲーム関連のベンチマークが一段落したところで、消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Speed Way Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
アイドル時の消費電力は、動作クロック、電圧とも抑えられるためいずれも約58Wで横並び。一方、高負荷時は38.1Wも低く、もともと消費電力が控えめだったGeForce RTX 4060 Tiからさらに省電力化が進んでいる。NVIDIAが宣言している通り、550Wクラスの電源ユニットを用意すればハイエンドのCPUを組み合わせた場合でも容量が不足することはないだろう。
テストセッションのラストは「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC」に実装されているオリジナルデュアルファンクーラーの冷却性能をチェックしていこう。なお消費電力の計測と同じく、ストレステストには「3DMark Speed Way Stress Test」を使用している。
GPU温度は最高70.5℃、Hot Spot温度は最高87.2℃で、ミドルレンジクラスのグラフィックスカードとしては若干GPU温度が高めだが実運用で大きな問題はないだろう。ちなみにファンの回転数は最高約1,900rpm、回転率は最高53%、ノイズレベルも最高41.2dBAに留まり、「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC」のオリジナルデュアルファンクーラーは静音性重視した設定になっているようだ。
今年5月に登場したGeForce RTX 4060 Ti 8GB版に続く、Ada Lovelace世代のミドルレンジGPU第2弾となるGeForce RTX 4060。GPUコアには、よりコンパクトで省電力な「AD107」を採用していることもあり、パフォーマンスはおおむね8割前後に留まる。加えて、メモリの実行帯域が狭くなっているため、4K解像度ではスコアが伸び悩むシーンも見られた。
とは言え、ラスタライズが中心のゲームであれば、メインターゲットにしているフルHD解像度はもちろん、WQHD解像度でも高リフレッシュレートな環境でゲームを楽しむことができる。またDLSSを使えばレイトレーシングを有効にしてもWQHD解像度までなら問題なし。最新超解像技術であるDLSS 3に対応するゲームなら、劇的にパフォーマンスを引き上げられるのも大きなメリットと言える。
ビデオメモリが8GBとイマドキノグラフィックスカードとしてはやや少ない点が気になる人もいるだろうが、ミドルレンジクラスの中でも下位に位置づけられる製品でそこまでのビデオメモリ容量が必要になる処理をすることは稀。実際今回の検証でもWQHD解像度まではビデオメモリ不足と思われる症状はなく、AI処理やよほど重いゲームでなければ影響はないだろう。
また直接のライバルになるRadeon RX 7600や、最近価格がこなれているGeForce RTX 3060 Tiに比べると価格はやや高めだが、圧倒的なレイトレーシング性能や最新超解像技術DLSS 3に魅力を感じるなら十分納得できるレベル。コンパクトなゲーミングPCの構築やアップグレードを狙っているなら、省電力でカードサイズも控えめなモデルが揃うGeForce RTX 4060は気になる製品になるだろう。
協力:NVIDIA Corporation