エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1313
2023.07.18 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
次にHAF 700の内部構造をご紹介しよう。外観ではフロントパネルデザインが最もHAF 700 EVOと異なる部分だったが、内部構造ではどの箇所に違いがあるだろうか。共通筐体を採用し、最も酷似しているシャーシ設計を中心としたキモの部分に迫って行く。
HAF 700 EVOと同じく、内部構造は熱に強いパーツと弱いパーツを棲み分け、それに合わせた冷却構造が特徴。高いエアフロー設計も”Hi Air Flow”を象徴するアピールポイントだ |
シャーシのトップパネルは左側面の上部、左右2本のネジを緩めることで取り外す事ができる。内部容積が十分だけに、一般的なミドルタワーPCケースより組み込みはしやすいが、さらにトップパネルが開放状態にできる事は、大いなるメリットだ。
特に本体を横倒しにした状態での組み込み作業では、上方向からの出入りが自由になるため、マザーボードの組み込みをはじめ、グラフィックスカードの固定、さらにケーブル配線も格段にしやすくなる。
マザーボードトレイには、出荷時より合計9本のスタンドオフ(台座)が装着されていた。うち中央の上段と中段の2本は段差付きで、マザーボードの仮組み時にポジションを決める事ができる。対応マザーボードはSSI-EEB、SSI-CEB、E-ATX、ATX、MicroATX、Mini-ITXで、あらゆるサイズがサポートされている。
まずは自ら”マンモス級水冷システム対応”を謳う、冷却ファンおよびラジエーターレイアウトを見ていこう。これだけの大型PCケースだけに、長尺ラジエーターの実装に期待するヘビーユーザーもいるだろう。またRGB LEDファンをこれでもかと搭載し、派手なイルミネーションPCを構築したい人がいるかもしれない。ミドルタワーPCケースでは実現できない、アッパークラスの内部構造に注目しよう。
外観デザインチェック時より存在感タップリだった、2基のフロント200mmファン。標準装備されているのは「SickleFlow 200 ARGB PWM」。HAF 700専用の”Performance Edition”とされ、アドレサブルRGB LEDを内蔵するイルミネーションファンだ。
例によって詳細スペックは開示されていないが、参考までにカタログモデルの「SickleFlow 200 ARGB」(型番:MFX-B3DN-08NP2-R1)は、回転数0~800rpm±10%、騒音値15.7dBA、風量102.8CFMで、Addressable Gen 2 RGBを搭載。専用ソフトウェア「MasterPlus+」の制御にも対応する。
“Performance Edition”は乳白色ブレードが9枚で構成。HAF 700 EVOはダークグレーの半透明ブレードだったため、スペック自体にも違いがあるのかもしれない |
ちなみにHAF 700 EVOのフロントパネル裏手には、ブラケットが装備されていたが、それが見当たらない。つまり120/140mmファンx2基への換装または最大360/420mmサイズラジエーターの搭載ができなくなっている。
200mmファンはシャーシ外側に固定されている |
HAF 700 EVOにあったブラケットが省略されたことで、意外にもフロント部へのラジエーター搭載はできない |
着脱可能なシャーシ天板の増設スペースは本体幅279mmを生かし、最も多彩な冷却ファンレイアウトが選択可能。複雑なあみだくじのようなデザインのスリット部分に目をこらすと、冷却ファン用のスリットを見つけることができる。
最も特徴的なのは、120mmファンが2列で搭載できること。サイド固定の480mmブラケットを外せば、横3基x2列で最大6基での運用が可能。また140mmファンなら3基、200mmファンなら2基が増設可能で、ラジエーターのサポートは、最大で360mmサイズ2基または420mmサイズ1基が固定できる。
よく目をこらすと”スリットらしきもの”が見えてくるだろう。実際に冷却ファンのネジ穴を合わせるとより分かりやすい |
マザーボードトレイ左手のサイドファン搭載スペース、最上段にネジ留めされているのが480mmブラケット。これを取り外すことで、120mmファン最大搭載可能数の6基になる |