エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1321
2023.08.10 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
最終セッションでは構成パーツ一式を用意し、NX500M ARGBへの組み込み作業を行ってみよう。両サイドパネルを外した”空の状態”は非常に軽く、角度や位置の変更を簡単に行う事ができる。これはNX500M ARGB特有の利点ではないものの、大型PCケースに比べれば格段に作業はしやすい。そんな点から、特に自作PC経験の浅いライトユーザーには扱い易く、組み込みのしやすいPCケースに感じるはずだ。
まずはMicroATX規格マザーボードを搭載してみる。NX500M ARGBのマザーボードトレイには、予め4本のスタンドオフ(台座)が装着されている。Mini-ITX規格であれば事足りるが、MicroATX規格では付属品のスタンドオフ4本を追加装着する事になった。これはMicroATX規格のネジ穴の位置が異なるため、共通の4本のみを装着しての出荷はやむを得ないだろう。
マザーボード搭載後の周辺クリアランスは、天板までが約65mm、フロントパネル裏面までが約80mm、ボトムカバー天板までが約25mmだった。
搭載テストにはASRock「B760M Steel Legend WiFi」を用意した。基板寸法はMicroATX規格準拠の244x244mmで、Intel B760チップ搭載のLGA1700対応モデル |
搭載作業については、一見開口部が広く作業がしやすく見えるが、どうしても左側縦列がシャーシ後方の折り返し部分と重なるため、ネジ穴に対してドライバーを垂直に立てることが難しい。ここは軸が極端に短い、または長いドライバーがあれば回避できる。なおスタンドオフの内径はミリで、付属のミリネジを合計8本使用した。
マザーボードを搭載したところで、CPUクーラーの有効スペースを計測する。CPUの上にレーザー距離計を載せ、強化ガラス製左サイドパネル内側に貼り付けたマーカーまで162mmを示した。メーカー公称値は高さ155mmだからやや開きがある。とは言え余裕がある分には問題ないだろう。ただしあくまで公称値は155mmなので、CPUクーラー選びはこの数字が軸である事には変わりない。
実測162mmはあくまで検証時の参考値。ミニタワーPCケースだけにあまり無理をしてはいけない |
次にマザーボードトレイ裏手に周り、CPUクーラーメンテナンスホールを計測してみた。結果は幅約160mm、高さ約120mmで、LGA1700マザーボード備え付けの金属製パックプレート、さらに四隅のCPUクーラーマウントホールも露出できている。種類はミニタワーだが、ミドルタワー並(またはそれ以上)の開口部が確認できた。
電源ユニットの搭載テストにはAntec「NE850G M ATX 3.0」を用意した。120mm静音ファンを搭載したフルモジュラータイプで、奥行きは140mm。NX500M ARGBの有効スペースは公称165mm(HDDケージ搭載時)だから、計算上では25mm余裕がある。
なお搭載手順は、右側面のボトムカバー開口部より本体を滑り込ませ、背面から4本のインチネジで固定。背面からのインストールではないため、予め必要本数のケーブル(コネクタ)は接続しておく事は必須だろう。
搭載後のクリアランスは、リムーバブルHDDドライブケージまでが約40mmだった。ちなみにリムーバブルHDDドライブケージまでの距離を計測してみると実測175mmで、公称165mmよりも10mmほど余裕があった。なおスペック表によると、リムーバブルHDDドライブケージを外すと325mmに拡大。ただしストレージ収納力を潰してまでクリアランスを確保する必要はないため、あくまで参考値ということだろう。
電源ユニットの搭載が完了したこのタイミングで、フロントトップのスイッチ&各種アクセスポート、標準搭載ファン等のケーブル類、さらに24pin ATXメインコネクタ、ATX補助電源ケーブル等の配線&接続をしておく。もちろん、この後作業を行うグラフィックスカードの搭載も想定し、PCI Express電源ケーブルやストレージ用のSATA電源ケーブル等も必要本数を確認し、配線しておくといいだろう。
ここでの作業で気が付いたのは、ボトムカバー天板の後方スルーホールの使い勝手。およそHD Audioコネクタや、冷却ファン、ARGBコネクタ等のケーブルの近道として利用するものだが、電源ユニットがスルーホールの大部分を塞いでしまい、コネクタが通せない。やむなく電源ユニットをもう一度取り外し、コネクタの配線を終えてから再度電源ユニットを固定した。手順の問題ではあるものの、マザーボードトレイ側も若干カットされていれば回避ができるはず。ちょっとした事だが、組み込みのしやすさを突き詰めると、こういった部分への配慮も必要だろう。
これはNX500M ARGBに限らずよくある事。マザーボードトレイ側まで目いっぱいカットする等、多少の改良で使い勝手は格段に向上するハズ。今後の新製品からの反映に期待したい |