エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1326
2023.08.20 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ここからはEH1 Mondrianの冷却機構をくまなく見ていこう。中型からやや大型なミドルタワーPCケースだけに、冷却ファン&ラジエーターレイアウトは非常に多彩。140mm PWMファンは標準で4基搭載され、最大10基の120mmファンが搭載可能。ラジエーターについては、360mmサイズが2台設置できる。EH1 Mondrianは意外にも高エアフロー設計という側面を持っている。
特徴的なフロントパネルの裏手シャーシ部には、140mm PWMファンが3基標準で装備されている。フロントパネルは密閉タイプだけに、ボディ同色のホワイトカラーファンにLEDは内蔵されていない。ちなみに密閉タイプとは言え、外枠との間には隙間が設けられており、吸気効率に対する配慮も見受けられる。
またフロントパネル部には、120mmファン3基換装用のスリット(ネジ穴)も用意。ラジエーターは120/140/240/280/360mmサイズがサポートされ、ハイエンド志向の構成パーツに対する準備は万全だ。
搭載ファンはブレード数9枚の140mm PWMファン。シャーシへの固定はテーパーネジを使用し、冷却ファン自体はシャーシ内側にマウントされる |
標準ファンをホコリから守る大判ダストフィルターはマグネット固定式。外形寸法は実測で幅約140mm、高さ約430mm |
トップパネル部はオプションながら、120/140mmファンが最大3基まで搭載が可能。合わせてラジエーターは120/140/240/280/360mmサイズに対応し、フロント部同様の搭載スペースが確保されている。フロント部は140mm PWMファン3基が標準だけに、多くのユーザーはこの面にラジエーターを搭載する事になるだろう。なおネジ固定用スリットの長さは、120/140mm用共に約45mmだった。
CPUソケットに最も近い場所に位置するリアファンは、140mm ARGB PWMファンが装備されていた。CPUや電源周りの熱ごもりを防ぐには、外部への常時排出は効果をもたらすだろう。そこにフロント部とは違い、ARGB LEDを内蔵させているあたりは、魅せるPC構築を意識してのものだろう。なお120mmファンへの換装用に、スリット(ネジ穴)は設けられているもののスペース的な問題から、ラジエーターの搭載はサポートされていない。
搭載ファンのスペックはフロント同様に開示されていない。なおスリットは120/140mm用共に約20mmだった |
マザーボード搭載スペースの右手のカットされたエリアには、120mmファン2基または120/240mmサイズラジエーターが搭載できる。右サイドパネルの前方縦列の通気孔はサイドファンに合わせたもので、内部の熱を排出させる等の用途が想定される。さらに強化ガラス製左サイドパネル越しに正対して240mmサイズラジエーターが設置できるのは、魅せる要素を重視したユーザーには歓迎される設計ではないだろうか。
マザーボードトレイ裏面から見たサイドファン増設スペース。ネジ穴はスリットタイプで、固定位置の調整が可能 |
EH1 Mondrianには、CPUソケット背面に120mmファンが標準装備されている。これまで右サイドパネルにネジ留めされた冷却ファンは複数存在していたが、マザーボードトレイ側に直接マウントする格好はそう多くない。
専用ブラケットは右手が2箇所のツメ、左手は1本のハンドスクリューで固定されている |
恐らく多くの人は、CPUソケット背面から基板に直接風を吹き付けることで、CPUそのものの温度が多少なりとも低下すると考えるだろう。筆者もその程度に捉えていたが、製品資料を読むとやや勝手が違い、CPUソケットのみが主たるターゲットではなく、その周辺を含めた直接的な冷却が目的だという。ちなみにMicronics社によるテストによると、電源回路の温度を効果的に6~7℃低下する事が確認できているそうで、オーバークロック時における安定動作をアシストするものらしい。
開示されているリザルトは、冷却ファンと右サイドパネルに4.6mmの間隔を設けた状態でテストを実施。その効果は数値にも表れている。冷却ファンとしての騒音値は決して高くない事もあり、構成パーツがハイエンドではなく、オーバークロックとは無縁という使い方でも「動作はさせた方が良さそう」な事は一致した意見ではないだろうか。
EH1 Mondrianには、標準で「RGBファンコントローラー」が搭載されている。幅約100mm/高さ約38mmの基板には、冷却ファンコネクタ(4pin)が6口、ARGB(5V)コネクタが6口装備され、出荷時は赤い冷却ファンコネクタ(4pin)に標準装備のリアファン、それ以外にフロント標準の140mm PWMファン3基が接続済み。ARGB(5V)はリアファンのみが接続されていた。
トップパネル部に搭載されるLEDボタンはこの基板に接続され、ARGB LEDのライティング制御が可能。基板背面には両面テープが装着済みで、任意の空きスペースに貼り付けて使用する。
画像左手のコネクタは上から4pin PWM、ARGB(5V)、右手のコネクタは上からSATA電源ケーブル(一括給電用)、LEDボタンへそれぞれ接続する |