エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1330
2023.09.01 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
Intel環境でのテストが一段落したところで、続いてRyzen 9 7950X3Dによるチェックを進めていこう。AMDからはオールインワン型水冷ユニットとの組み合わせが推奨されているRyzen 9 7950X3Dだが「Assassin IV」でどの程度冷やすことができるのだろうか。なおストレステストや騒音値の計測はIntel環境と同じ条件で行い、CPUの温度はCPU (Tctl/Tdie)の値を採用している。
Ryzen 9 7950X3DのTDPは120Wと、Ryzen 9 7950XやRyzen 9 7900Xの170Wに比べると控えめ。ただし、最高温度も89℃に引き下げられており、熱処理の難しさはあまり変わらない |
「OCCT 12.0.12」実行時のPackage Powerは約85W、CPUの温度も途中何度か突発的に70℃前後まで上昇するが、それ以外は55℃前後で安定して推移する。
続いて「CINEBENCH R23」の結果を確認すると、Package Powerは145W前後で、「OCCT 12.0.12」から約60Wも上昇している。また空冷クーラーでは許容最高温度である89℃に達することが多いCPUの温度も「Assassin IV」なら84℃を超えることはなく、動作クロックも常に4.75GHzを維持することができている。
「CINEBENCH R23」実行時のファンはフル回転の1,700rpm前後、騒音値は45dBA前後でIntel環境の「360-420mm Liquid Cooler」設定時と同じ結果になった。
また「OCCT 12.0.12」ではファンの回転数は途中何度か1,300rpm前後まで上昇するが、それ以外は900rpm前後で推移。ノイズレベルも30dBA前半までしか上がらず、静音性も良好だ。
テストセッションのラストは、サーモグラフィの結果をチェックしておこう。CPUはCore i9-13900Kを使用し、「CPU Cooler Type」は「360-420mm Liquid Cooler」に設定。ストレステストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を使用している。なお「Assassin IV」では、周囲がプラスチックカバーで覆われているため、ポイント別温度計測は省略した。
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
高負荷時はヒートパイプ部分の温度が周辺のヒートシンクより明らかに高く、CPUから発生した熱がヒートパイプを伝って移動している様子が確認できる。またヒートシンクの温度もCPUから離れていくに従って低下する順当な結果になった。
正直、この価格帯になるとオールインワン型水冷ユニットと迷う自作派は一定数いるだろう。Deepcoolには選択肢多くAIO水冷のラインナップもあるから「どちらでもどうぞ」というスタンスであろうが、それでも空冷の人気は根強い。
看板モデル「AK」シリーズとは一線を画し、「Assassin」は最新の4作目まで一貫してハイエンド路線。空冷の限界に挑戦といったところだが「Assassin IV」にはずいぶんと余力があり、現行上位CPUの熱を確実に押さえつける実力があった。それにはそれなりの大型化はやむなしだが、隣接するメモリスロットのクリアランスも十分確保しつつ、多くのPCケースに収められるよう全高にも配慮されている。扱いにくい巨大CPUクーラーは単なるイメージで、実は汎用性の高さも持ち合わせたハイエンドクーラーが「Assassin IV」だった。
当初は心理的にネガティブな印象だった全体を覆うカバーも功を奏していると見え、冷却性能はテスト結果が証明している。140mmと120mmのデュアル冷却ファンに対し、物理的なトンネルを造設することで正確な直進的エアフローを作り、ロスを減らす考えは正解だったようだ。
本稿執筆中、AK400やAK620には「リアルタイムステータスパネル」が付く「DIGITAL」がリリースされている。果たしてAssassin IVにバリエーションモデルが追加されるのかは定かではないものの、実力を数値で表す仕掛けこそAssassin IVには好都合ではないだろうか。
協力:Deepcool Industries
株式会社アユート